現在、ブラジルでは、ある日系人の少年が、ドラマでの当たり役を契機に、国民的な人気者になっている。
その少年の名はマテウス・ウエタ君(12)だ。彼は2012年、小学校を舞台にし、空前の大ヒットを記録した学園ドラマ「カロッセル(SBT局)」で、頭に「平和」の鉢巻をまいた日系人少年コキモト・ミシマ役を演じて人気者となった。クラスメートの中でひときわ小柄で、笑顔が耐えない明るいキャラクターだった。
「カロッセル」は放送終了後も映画で定期的に復活しているが、出演子役が今も人気役者であり続けているのも、これまでの子供ドラマにない展開だ。
CMや別番組でなじみとなっている人気出演者は5~10人おり、マテウス君もそのひとりだ。同君は番組終了後も、SBT局の子供番組で司会をつとめるなど、安定した人気を誇っている。
そのマテウス君が19日、自身のフェイスブックでファンの喝采を浴びる瞬間があった。彼のフェイスブックは150万人の読者がいるが、その中のひとりがマテウス君の写真の投稿のコメント欄に「ホモみたいだね」と書き込んだ。
するとマテウス君は「そう? 僕はそう見えても全然平気だけど。でも、君にはそれが気に食わないんだね。僕のこと考えて時間を無駄遣いしてると思うよ。勉強でもして、ほかのこと気にした方がいいよ」と返した。
すると読者たちは、マテウス君の冷静な反応をほめたたえた。この反響はあまりにも大きかったため、一般のニュースでも大きく取り上げられた。
ブラジルでは、同性愛差別の問題が社会問題化している状況が続いている状況でもあった。
「カロッセル」の出演者は、子供たちにとってのオピニオン・リーダー的な役割も担っている。番組内で1、2位を争う人気のヴァレリア役を務めたマイーザ・シウヴァ(14)も、人気が出すぎて、「殺すぞ」などと脅迫されたりしたが、12日に「私には神様がついてるもん。なによ、脅しなんて」とツイッターに書いて評判を呼んだ。(20日付Veja誌サイトなどより)