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聖火リレーで悲しい事件が起きてしまった…(Ivo Lima/ME)
聖火リレーで悲しい事件が起きてしまった…(Ivo Lima/ME)

聖火リレー=参加したジャガー銃殺に=軍の不手際指摘する声=各国メディアも大きく報道

 リオ五輪の聖火リレーで20日、アマゾナス州都マナウス市でのセレモニーに使われたジャガーの「ジュマ」が撃たれて死んだ。この事件は地域住民にショックを与え、インターネットには抗議の声が広がり、国外にも反響が及んでいると22日付伯字各紙が報じた。
 ジュマはマナウス市の密林戦闘部隊司令部(CIGS)動物園内でのセレモニーに参加した後、おりに入れられるところで逃走した。ジャガーの搬送には獣医や飼育員が付き添っており、ジュマを鎮めるために鎮静弾4発が放たれた。2発が命中したが、ジュマが兵士への攻撃を止めようとしなかったため、実弾が使用され、死亡した。
 撃たれる直前のジュマは、2人の陸軍兵士が持つ器具に鎖で繋がれた状態で聖火リレーのセレモニーに参加した。このイベントには約30人が出席したが、CIGS動物園は軍の施設で、当日は非公開だったため、大半は軍人だった。
 アマゾニア州軍司令部(CMA)発表の文書によると、逃げ出したジャガーが兵士の1人に襲いかかろうとしたため、射殺したという。CMAとCIGSは事件調査委員会を設置。CMAによると、ジャガーの管理を担当していた兵士は処分を受ける見込みだという。
 同州政府の下部機関であるアマゾン自然保護研究所(Ipaam)は、CIGS動物園で飼育されていたジャガー(ジュマとシンバ)を聖火イベントに参加させる許可を出していなかった。
 リオ五輪組織委員会は、ジュマを聖火リレーに参加させた事は誤りだった事を認め、「平和と人々の団結を示す聖火を、鎖に繋がれた野生動物の前で受け渡す事を許可したのは誤りだった。このような光景は我々の信念や大切にしている価値観に反する。二度とこのような事は起こらないと保証する」と語った。
 これまでの聖火リレーには、馬や牛、亀、イルカなどが使われたが、問題は起きなかった。マナウス通過後、麻州のパンタナール湿原ではワニ、インコ、その他の鳥類も使われる予定だったが、この予定は変更された。
 インターネット上には21日午後7時半までに、責任者の処分を求める署名5万5千通が集っている。
 同件はニューヨークタイムズ、USAトゥデイ、ガーディアンなど、世界各国の主要メディアにも報じられた。