英国EU離脱の是非を問う国民投票の結果、賛成51・9%、反対48・1%でEU離脱が決定した後、キャメロン首相は10月までに辞職すると発表した。
投票から一夜明けた24日、キャメロン首相は「EU圏内に住む英国人や英国に住んでいるEU諸国出身者に早急な変化は起こらないので安心して欲しい」と語った。
しかし、英国によるEU離脱決定は、同国に住むブラジル人にも影響を与える可能性がある。これまでは、イタリアやスペイン、ポルトガルなどとの二重国籍を持つブラジル人が英国に居住することには何の障害もなかった。
「英国は5年以上居住すると永住権を申請できていたが、申請中のブラジル人も今後どうなるかは保証されない。唯一落ち着いて英国に住み続けられるのは帰化した人だけだ」と英国ブラジル人協会の移民コンサルタント、リカルド・ザゴット氏は語る。
英国のEU離脱決定による余波は、ブラジルにも24日のうちに達した。
ミシェル・テメル大統領代行(民主運動党・PMDB)は同日朝、ラジオのインタビューに答え「(南米版EUの)メルコスル(MS)は重要だが、ブラジルの外交・経済政策の目標達成のために、今後、MSとの関わりを再検討する必要がある。セーラ外相は常に『MSは再考の必要がある』と言ってきた。我々はEUとの貿易自由化を協議している最中で、合意に向けて努力しているが、MS内の約束故に単独でEUとの間で協定を結ぶ事は難しい。MSを否定するのではなく、今後のあり方について議論する必要がある」と語った。
同大統領代行は英国のEU離脱の影響についても聞かれ、同日午後、メイレレス財相がブラジリアでアレックス・アリス英国大使と会合を持つ予定であることを告げた。また、「英国が国民投票で決定したことは尊重されねばならないが、我々は自国の経済問題を注視する必要がある。もう既に株価下落が起きているが、その後も、ブラジルにどのような影響が出て来るかを注視し続けなくてはならない」と語った。
英国EU離脱の報は24日のブラジル株式、為替相場にも影響を及ぼした。午後2時50分現在のサンパウロ市証券取引所指数(Ibovespa)は、取引開始時の5万1561ポイントから2・82%マイナスの5万105ポイントとなった。米ドルの対レアル価は1・14%高の1ドル=3・382レアル、英国ポンドは対レアル6・43%安の1ポンド=4・652レアルをつけた。
なお、セーラ外相は同日、「英国はEUより解放的だから、離脱の時期が確定したら、貿易自由化交渉を始める用意がある」と発言した。