開幕まで残り1カ月余りに迫ったリオ五輪で、組織委員会最高経営責任者(CEO)を務めるシジネイ・レヴィ氏の「主要な心配事」リストの中にジカ熱は含まれていない。同氏最大の不安の種は、治安全般と、制御が極めて困難な単独犯によるテロ行為だ。
この点は、リオ五輪を観戦に訪れる国外からの観戦客の多数を占める米国の当局も同意見だ。
パリ、ブリュッセル、オーランド、イスタンブール等、国外で多発するテロを前にブラジル当局が神経を尖らせている様子を29日付エスタード紙が報じた。
在伯米国全権大使のリリアーナ・アヤルデ氏は「もう世界は変わってしまった。パリやブリュッセル、オーランドでの事件を見るに、単独犯テロを警戒しなくてはいけない」と語った。米国はブラジルの五輪警備に最も協力している国の一つで、ブラジル警察に爆発物発見、混乱時の群衆制御、空港警備などの訓練プログラムを提供している。
「6月12日に米国オーランドで発生し、49人の死者を出したナイトクラブでの銃乱射事件の直後、ブラジル当局は事件の詳細とどうすればそれを防げたかの分析書を求めてきた」とアヤルデ大使は語る。
レヴィ氏は「最も警戒しなくてはいけないのは〃一匹狼〃による個人テロだ。対テロ対策は情報収集が命で、大会本番では100以上の国の警察が協力する。例えばブラジルの港で、外国からの不審物が発見された時、その国の警察に訊く事もできる」と語った。
レヴィ氏は更に、競技施設が集中するバーラ、マラカナン、コパカバーナ、デオドーロの4地区では、各々が円形の特別警戒ゾーンを敷き、厳しい交通規制を取る上、各ゾーン間の移動も制限されるとした。
五輪期間中は全伯から8万5千人の警察や軍兵士増援が決まっており、市街地の警備に当たる。
連邦政府はリオ市と五輪サッカー開催都市の市民に向けて、「対テロリズム、察知と防止計画ガイド」を発表した。これは防衛省が法務省とブラジル情報庁の協力を得て作成したもので、イラスト入りの解説では、「保安施設を撮影する人物」「周囲から〃浮いている〃服装の人物」などを不審者として定義。不審な車両や不審な状況も図示している。