テメル暫定政権が6月29日、ブラジル航空会社への完全外資解放を断念したと6月30日付伯字各紙が報じた。
上院は国内航空路線への外資解禁を認める暫定令が有効期限切れとなるのを防ぐため、同日の本会議で暫定令を承認したが、これは、テメル大統領代行が同令に拒否権を行使するという合意の上での承認だった。
これにより、ブラジル航空会社への外資参入の上限を20%とする法律は現行通り継続される。
株式市場を揺るがし、航空大手Gol社の株価を7・34%も下落させた決定の裏には、ジウマ政権時の鉱動相で、現上議のエドゥアルド・ブラガ氏(民主運動党・PMDB)が行った根回しがあった。
同上議は、エリゼウ・パジーリャ官房長官と会談し、暫定令は今後の空港関連や地方航空路線への投資を鈍らせるものだと語った。
現行政府の計画する、国内航空路線拡大計画は、同上議の政治母体であるアマゾナス州を優先している。しかし、ブラガ上議は、100%外資に開放した場合、開発が遅れている地域や路線は国内のドル箱路線にしか興味のない外資に見捨てられると語った。
来月に控える、大統領罷免の最終審理採決で票を失うリスクを避けるため、政府はブラガ上議のロビー工作に屈した。
エドゥアルド・サノヴィッツブラジル航空会社協会(ABEAR)会長は「結果に失望した。これまで散々議論を尽くしてきたのに、外資参入率は20%に留まり、乗り換え税の廃止は通らなかった」と嘆いた。
同暫定令はジウマ政権時から検討されてきたもので、外資参入の上限を49%としていたが、テメル大統領代行はこの上限を100%に引き上げ、事実上の完全解禁とする意向でいた。
なお、フォルタレーザやサルバドールといった空港の民営化に関する議論は今度も継続される。