リオ五輪開幕まであと1カ月となり、リオ市長のフェルナンド・パエス氏(民主運動党・PMDB)がリオ州政府への批判のトーンを強めている。同市長は4日、米国CNNのインタビューで、州政府の仕事ぶりを酷評したと5日付伯字各紙が報じた。
パエス市長はセルジオ・カブラル前リオ州知事やルイス・フェルナンド・ペザン現知事と同じ政党で、リオ州政とは良好な関係を築いてきた。しかし、先週来、病気療養で休職中のペザン氏に代わってフランシスコ・ドルネレス氏(進歩党・PP)が知事代行を務めるリオ州政に対する批判を強めている。
2日には、6月30日にドイツのTV局の放送用機材がコンテナごと盗まれた事や、リオ州のルイス・アントニオ・テイシェイラ保健局長が「資金不足だから、五輪期間中の医療体制は万全ではない」と発言した事を挙げ、「州当局は恥を知り、襟を正して職務に当たるべきだ。泣き言は通用しない」と語った。
同市長は4日も、皮肉交じりに「〃幸いな事に〃リオ五輪開催期間中の警備はリオ州だけの責任ではない。フォルサ・ナシオナル、陸軍、海軍の増援もある。治安対策はリオの最重要課題だ。リオ州の仕事ぶりは酷い。治安対策で失政を繰り返している」と語った。
だが、同日午後、リオ五輪用に開通、バーラ地区~デオドーロ地区間を結ぶバス高速輸送システム(BRT)の「トランスオリンピコ線」開通式では、批判が幾分和らいだ。「前向きに考えなければいけない。現状を嘆き、泣いていても仕方がない。ドルネレス州知事代行や州保安局長のベルトラーメ氏を信頼している」と語った。
リオ五輪は現在、各国首脳の開会式参加の取り付けに苦労している。開催まで1カ月だが、出席が確認されているのは50~60の国と地域の首脳で、前回ロンドン大会の約半数で、前々回の北京大会を下回っている。
二の足を踏ませているのはジウマ大統領の罷免問題の決着がついてないことと、ブラジルは多くの国にとって地理的に遠く、少なくとも3日間自国を留守にするのが難しいという事情もある。
パエス市長は5日、リオ五輪大会組織委員長のアルトゥール・ヌズマン氏や、スポーツ相のレオナルド・ピシアニ氏らと共に五輪開始まで30日の記念式典に参加した。
ヌズマン氏は「もう準備万端で今日にでも開幕できる。リオ五輪は南米にも夏季五輪が開催出来ることを証明した。五輪は全大陸で開催できる」と発言。パエス市長も「リオ五輪が北米や西欧のエリート諸国以外でも夏季五輪が行えることを示した意義は大きいが、観光客にはニューヨークやロンドンのような街を見ることは期待しないで欲しい」と語った。
なお、五輪関係の施設には5日から、軍警や市警、消防士、鑑識官らからなるフォルサ・ナシオナルが配備された。
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