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6月にハバナで行われた、カリブ海諸国会議でのベネズエラ、マドゥーロ大統領(Ismael Francisco/Cubadebate)
6月にハバナで行われた、カリブ海諸国会議でのベネズエラ、マドゥーロ大統領(Ismael Francisco/Cubadebate)

ベネズエラの危機深刻化=コロンビア国境一時開放=物資を買い求める国民殺到

 ベネズエラとコロンビア国境の徒歩での往来が10日、半年振りに12時間の期限付きで開放され、物資の不足で困窮する多数のベネズエラ国民がコロンビア国境の街、ククタで食料品や医薬品を購入するために国境を渡ったと11日付伯字各紙が報じた。
 「スーパーで買い物できるだけで幸せよ。ベネズエラには何もない。子供に与える薬さえないから、なす術もなく死んでいく。食べ物があるのは政府高官だけ。マドゥーロ大統領は『食べ物はある』と言っているけど、それは嘘。服を洗う石鹸すらないのよ」とトゥリア・ソモーサさんがフランスメディアに語ると、スーパーを埋め尽くしたベネズエラ人は賞賛の拍手を送った。
 マドゥーロ大統領は、10日の午前6時から午後6時までの間、徒歩での移動に限り、ベネズエラのシモン・ボリバルとコロンビアのフランシスコ・パウラ・デ・サンタンデール間の橋の通行を許可した。今回の措置は先週、生活基本用品や医薬品を購入するため、約500人の女性が軍の制止をふり切り、国境を渡ったことがきっかけとなって採られた。
 「神のおかげ」―。この言葉は、小麦や油、トイレットペーパーやシャンプーなどの生活基本用品や医薬品を買い求めるためにククタの街やスーパーの列に着いたベネズエラ国民が最も繰り返して叫んだ言葉だった。
 混乱を避けるため、当日はコロンビアの警察300人がククタ市内の2大スーパー中心に動員され、ベネズエラ人の整理や店の警備に当たった。
 マドゥーロ大統領は物資の不足は政権を揺さぶるために基本物資を買占め、供給を遮断している勢力がいるせいだとしている。同大統領は、コロンビア国境のサンアントニオ・デル・タチラでコロンビアの密売組織とべネズエラの警察が交戦状態になった15年8月に国境を閉鎖した。
 コロンビア側では10日、国境付近のラ・パラーダ、ククタ、ヴィッラ・デル・ロサリオの3市だけで、3万5千人のベネズエラ人が訪れた。次回の国境開放がいつになるかは未定だ。
 ベネズエラの国内問題を懸念するブラジルは、5日にジョゼ・セーラ外相とカルドーゾ元大統領をウルグアイの首都モンテビデオに派遣し、南米共同市場(メルコスル)の議長国を規定どおりにウルグアイからベネズエラに譲る動きを牽制したが、ウルグアイ政府は7日、ベネズエラに議長国の座を譲る事を明言した。