ブラジル日本都道府県連合会(山田康夫会長)主催の『第19回日本祭り』が、サンパウロ市サンパウロ・エキスポセンターで今月8~10日に行われた。晴天に恵まれ、昨年よりも多い、16万8千人を超える大盛況で幕を閉じた。政治経済情勢の混迷のさなか、中南米最大のイベント会場で日系社会の威信を示した格好だ。県人会含め約5千人ものボランティアにより運営された同祭では、「スポーツと健康」と題した様々なイベントや40近くの主要舞台での様々な演目で会場が熱気を帯び、来場客は様々な形で日本文化に親しんだ。
9日午前11時から始まった開会式で挨拶に立った山田会長は、「県連は50周年を迎えて正念場にあったが、実現できたのは皆の協力の賜物」と謝意を述べた。
昨年から積極的な支援を行ってきた日本政府を代表して世耕弘成内閣官房副長官が挨拶文を寄せ、本橋幹久元会長が代読した。来賓からは「厳しい政治経済情勢のなか、日系社会が一致団結し、これほど大規模なイベントを開催できたことは誇るべきことだ」と祝福の言葉が相次いだ。
式典には、梅田邦夫特命全権大使、中前隆博在聖総領事のほか、太田ケイコ、飯星ワルテル両連邦下議、羽藤譲二州議、野村アウレリオ市議、スポンサーからはブラデスコ社のキムラ・ミツオ氏、トヨタブラジルの近藤剛史社長らが出席して鏡開きが行われ、祝祭ムードが広がった。
テーマにあわせて「スポーツコーナー」が特設され、在聖総領事館後援によるバルセロナ五輪柔道金メダリストのロジェリオ・サンパイオ氏による投げ技披露と講演ほか、トヨタ後援によるパラリンピックブラジル人選手の卓球披露も行われた。
農水省は蕎麦や寿司など日本食の実演調理と試食会を行った。それらの歴史と健康への理解を深められるよう趣向の凝らされた企画を実施。参加した日系女性は、「これほどまで細やかな配慮が行き届いて、蕎麦が作られているなんて知らなかった。ただの試食ではなく、蕎麦の含む栄養素や歴史を知ることで、より味わい深くなった」と感慨深げに語った。
舞台では、国際交流基金後援で日本から来伯した2人組ダンスユニットの「Hilty&Bosch」が緩急あるストリートダンスで会場を沸かせた。盛り上がりが最高潮に達したのは「ミスニッケイコンテスト」。各地から候補者の支援に駆けつけた応援団が熱気を放ち、約4時間に渡って1800人収容可能な客席は満員になった。
毎年に来ているという根岸健三さん(二世、75)は、「いままでで一番素晴らしい日本祭りだった。今年は天候も良く、会場も立派になり、すべてがスムーズに進行されていると感じた」と賞賛する。
同祭を終えて山田会長は、「当初は厳しい政治経済情勢で実現は困難かと思われたが、蓋を開けてみれば、皆が協力してくれ、大成功だった」と肩をなでおろした。その一方で「これからが正念場。日本祭りを通じて県人会活動を活性化させ、来年以降も同祭を続けていけるように努力しなければ」と意気込んだ。
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