日本祭りでは今年も連日、長蛇の列をなした『郷土食広場』。今年参加した46の都道府県人会が、懐かしい郷土の味を販売した。同祭でしか食べられない日本食が堪能できるとあって、これを目当てに同祭を訪れる客も多い。昨年より来場者が増加したことで、今年は売れ行きが良いと感じた県人会も多かったようだ。日系社会面の記者3人が、それぞれ気になった食品を担当、上下に分けて紹介する。
モチモチの食感と、根菜や鶏肉の深い味わいで人気の大山おこわを販売していた鳥取。「土曜日は、その日の200食分が午後2時には売り切れてしまいました」と同会婦人らが話す。「今年は若い人が多く手伝ってくれて嬉しい。とても疲れましたが最後まで頑張ります」と明るい笑顔で応えた。
長野には毎年人気の野沢菜付け、シイタケごはん、花梅漬けなどが店頭に。野沢菜漬けは県人会の元会長、北沢重喜さん夫人の指導の下、先週の月曜日から作り始めた。毎年500食を用意していたが、寒波の影響により今年は150食にとどまったという。そのため土曜日の正午には、早々に売切れてしまった。
鹿児島の目玉商品はかるかん饅頭と薩摩揚げ。手間隙かかる郷土食を、2日がかりで準備した。2014年6月の会館売却後、移転先が決まっておらず昨年同様、調理はサンパウロ市東洋街の飲食店「レストラン・サムライ」で行なった。
厨房を貸し出した同店女将の上園モニカさんも、「今年は昨年より早く売り切れてしまいました。土曜日の午後3時には両方とも完売しました」と微笑む。
「無添加で体に優しく、手作りの自然な味わいが人気の秘訣です」と話し、「婦人部と青年部が協力し、賑やかに皆と一緒にできてとても楽しかった」と満足げな様子だった。
高知は鯛の蒸しや姿寿司、鰹のタタキなど、下準備に時間のかかる郷土食を提供した。日曜日には既に130食分が完売していたという鯛の蒸しは、一匹蒸し上げるのに一時間半はかかると言う代物。
「特に土曜日の行列はすごかった。今年はお客さんが多かった」と話すのは同会の婦人。「会員のほとんどが70~80代という中、近年、若い研修生が沢山手伝ってくれて活気が出てきました」と話し、「これからも皆と力を合わせて頑張りたい」と、今後に意気込みを見せた。来月には青年部主体で運営する土佐祭りも控えている。(つづく)