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日本祭りの裏方のみなさん「お疲れさま!」

楽しそうにお好み焼きを焼く和歌山県人会の若者たち

楽しそうにお好み焼きを焼く和歌山県人会の若者たち

 「お疲れさま!」――県連日本祭りの裏方を務めたみなさんに、今年も心からそう言いたい。県連役員はもちろん、各県人会や婦人会、青年部、そして出展者、ボランティアのみなさんにだ。数千人が準備に関わり、1年がかりで積み重ねた打ち合わせ、会議、連絡の成果が、この3日間に花開いた▼同じ会場なのに、建物が一新して近代的になり、まるで「新しい場所」でやっているような感じだった。祭り自体は昨年の延長だが、どこか「バージョンアップ(格上げ)」したような趣があった。特に良かったのは、昨年までは渋滞がひどかった会場周辺のアクセス道路が充実し、未舗装で雨が降ると靴が泥まみれになる駐車場が最新式のビルになったこと。もちろん会場自体も新しくなり、トイレもきれいに▼帰りの無料バスで、たまたま隣になった25歳ぐらいの白人青年から、声をかけられた。「あなたは日本語新聞で働いているのか」というので「そうだ」と答えと、「すごいね。まだそんなに日本語が残っているのは。僕はオランダ系三世だけど、オランダ語なんて全然分からない」と頭をかいた▼「でもオランブラの花祭りはすごいよ。あそこには伝統が残っているんじゃないの」と尋ねかえすと、「今日初めて日本祭りを見たけど、この質と量に比べたら、オランブラなんて比較にならない。あそこは、僕に言わせれば、ブラジルの影響が入り過ぎて、オランダというよりはポルトガルみたいになっている」と欧州系らしい不思議な比喩をした。ポアから電車で見にきたという。隣のお母さんはレシフェのオランダ系コロニア出身で、「あちらにはもっと伝統が残っている」と言っていた▼一番印象に残ったものは―と尋ねると、「和太鼓だね。躍動感があっていい。特に子供たちの演奏のレベルの高さに感動した」と興奮冷めやらぬ様子。聞いているこちらまで嬉しくなった。他のコロニアから見て、日本祭りは日系コロニアを代表する〃顔〃として定着している▼今回は特に人出も多かったように見えた。岡山県人会で土曜日に聞くと、目玉メニューが昼過ぎには売り切れ、主だったものは午後2時過ぎには終わってしまったとか。この売り上げ予測は本当に難しい。おそらく他の県人会の売り上げもかなり期待できそうだ。「リオから毎年来ている」というブラジル人夫婦もいたし、サンパウロ州ノロエステ線のアンドラジーナなどの奥地から見にきた人や、タウバテ、ピニャール、モジからもバスを仕立てて来ていた。ある意味、大サンパウロ市圏のコロニアの総力を結集した祭りに育ちつつある▼県人会のブースでは青年たちが汗を流して働く姿がまぶしかった。もちろん、さぼったり、遅刻した者は当然あるだろう。だがブラジルにおいて「ボランティアで手伝っている」だけで大いに賞賛していい▼ただし、ちょっと気になったのはジャパンハウスのブースだ。まるでそこだけ「美術館の一角」のようにお上品で、抽象的な空間になっており、正直言って〃浮いている〃感が強かった。いろいろなブースがあっていいのは当然だが、来年あの雰囲気のまま開館するのであれば、コロニアからも〃浮く〃ことは否めないと危惧させる空気があった。「本物の日本文化」にこだわりすぎると、「日系文化」と乖離する典型だろう▼今回も政治家がたくさん来た。すでにコロニアというより「ブラジルの伝統行事」の仲間入りと言っていいだろう。これは〃日系のカーニバル〃だ。今年の疲れを癒したら、さあ、来年の日本祭りに向けての準備を始めよう。(深)