国連共催のエイズ撲滅計画によると、ブラジルのエイズ患者は増加傾向にあり、2015年には新たに4万4千人が感染したと13日付エスタード紙やG1サイトが報じた。
15年のエイズ患者の総数は、2010年の70万人より13万人増の83万人で、年間1万5千人が亡くなった。新たに感染した患者の数も10年の4万3千人が4万4千人に増えており、15年の数字は、ラ米全体の新しい患者の40%以上を占めている。
世界全体の患者数は3670万人とされるが、新しい患者の数は10年の220万人から210万人(成人患者は190万人)に減った。だが、ブラジルを含むラ米では新しく感染する人が増える傾向にある。成人に限った場合、ブラジルでの新しい感染者は3万7千人だった2000年より18・91%増えたという。
ブラジルの場合、同性愛者と両性愛者の間で新しい患者が増える傾向がある事も判明している。専門家は2009年に既に、ブラジルでは男性同士で性関係を持っている人達の半数近くが一度も検査を受けていないと指摘しており、政府側のイニシアチブを要請していた。ブラジルのエイズ対策費の内、予防にさかれている経費は6%に過ぎないという。
国連は15年の数字を受け、「ブラジルはこれまでエイズ撲滅の優良児だったが、近年はかつての力を失った。ガードを下げてはならない」と警告した。また、世界中に「エイズ撲滅のためには予防や啓発が大切」とした上で、「新たな患者が増える状態が再来すれば新たな流行回避は不可能」との見解を表明した。
ただ、保健省は、数字の上では感染者が増えたが、人口10万人当たりの患者数を見ると、10年は22・5人だったが15年は21・5人、死亡率も10万人当たり6人が5・7人になったとして、悪化はしていないとの見解を示している。