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国内約1億人の利用者がある通信アプリの凍結も3度目となった(Bruno Fortuna/Fotos Publicas)
国内約1億人の利用者がある通信アプリの凍結も3度目となった(Bruno Fortuna/Fotos Publicas)

リオ州DC市=ワッツアップを凍結=犯罪捜査協力拒否を理由に=通信保護を盾に拒む業者

 19日午前、リオ州ドゥッケ・デ・カシアス(DC)市、第2刑事裁判所のダニエラ・バルボーザ判事がスマートフォン用メッセージ送受信アプリ、ワッツアップ(WA)を凍結する判決を下し、同日午後2時より5時間、WAの機能が停止したと20日付伯字各紙が報じた。
 WAの利用者は国内に約1億人おり、メッセージの送受信に留まらず、企業活動にも利用され、国民にとって基本インフラとなっている。
 WAの凍結は昨年12月、今年6月以来、3度目の事だ。同州市警は同市内の犯罪組織に関する捜査のため、WAのオーナー企業であるフェイスブック(FB)に対し、WAでやり取りされているメッセージの公開や、暗号解除などを裁判所に求めていた。裁判所は既に3回も暗号解除、犯罪容疑者の会話傍受を認めるよう、FBに通達文書を送っていたが、FBがこれを拒否したため、今回の決定となった。
 今回は、リカルド・レヴァンドフスキ最高裁長官が一自治体での捜査活動のために国全体で凍結されるのはバランスを欠いているとして解除を命じたため、WAは同日午後7時には再開した。
 これまで2回の凍結の際、WAは利用者の会話やその他の情報は、サーバーに保管されていなかったので内容を警察に提供することができないと主張していた。
 最近WAは、メッセージの内容をバラバラにし、会話の参加者にしか元の会話にアクセスできないようにする、強力な暗号を採用していた。社会技術研究所所長にして、弁護士であるカルロス・アフォンソ・ソウザ氏は「当局が企業に暗号を弱体化させるように命令すれば、ブラジルの暗号技術の開発にブレーキがかかる」と語る。
 WAは判決確定を避けるべく、控訴する可能性が濃厚だ。緩慢な司法手続きはWAにとって〃時間稼ぎ〃にはなるが、今回の判決は確実にWAへの圧力を増した。
 情報技術部門の企業は、暗号を弱めればハッカーに利用されたり、悪意をもった政府に利用されたりしやすくなるとして、暗号弱体化には反対の態度を取ってきた。
 インターネット関連調査研究所のフランシスコ・クルス氏は、「多くの政府は暗号があるから犯罪が助長されると言っているが、その逆だ。暗号があるから個人データ流出が防げ、犯罪に対する抑止力になっている」と語っている。