「人は足から老いる」
私は今、スコットランドの北西にあるスカイ島にいます。シングルモルトで有名なタリスカー蒸留所(シングルモルト・ウィスキーで有名)を見学する傍らで、この記事を書いているところです。
今回の旅は、スコットランドとアイルランドを車で周遊します。
これまで54カ国を旅しましたが、年を重ねる毎に「感動の針」の振れ幅が小さくなってきたことを実感しています。感性が枯れてしまわないように、些細な事を楽しがったり、面白がったりして、意識的に針の振幅を大きくしていかなければと思います。
「足のケアで健康寿命を延ばす」
旅先では、毎朝15キロ以上走って、街全体の雰囲気とメインの道を頭に入れるようにしています。ホテルに戻ってから、さらに街中を何時間も歩き続けるのがお決まりのパターンになっているのですが、夜には、足の裏と膝の裏がパンパンにむくんで、膝が真っ直ぐに伸ばせなくなります。
放置しておくと、翌日以降の歩行に影響がでるので、就寝前に「棒」を使って足裏のマッサージを入念に行います。思わずうなってしまうほど痛いところもありますが、足の痛みが改善するだけでなく、膝が伸びるようになる便利で気持ち良いマッサージです。
「足裏年齢が健康の鍵を握る」
多くの日本人は、寝たきりになっても長生きすることが重要だと刷り込まれてきましたが、ようやく、「健康寿命」という言葉が普及してきました。健康でなければ、ただ長生きしても意味がないという事を、多くの人が理解し始めたわけです。
健康寿命を延ばすために欠かせないのが、足裏のコンディションです。
体は足から疲れて、足から老いていきます。子供の頃に比べて運動機能が最も低下するのは、足裏の緩衝機能と足関節の可動性です。足が機能しなくなると、膝痛、股関節痛、腰痛と様々な問題が発生します。とくに、シニアの方は足が悪くなって出不精になってしまうと、認知症の発症リスクが一気に高まるので、足の機能を維持することは大変重要です。
今回ご紹介するマッサージを日頃から行っていれば、何歳になっても丈夫で若い足を保つことができるのです。
「外側のアーチがポイント」
足は28個の骨から構成されていて、二つの足だけで全身の骨の4分の1を占めています。これだけ沢山の骨が集中しているのは、以下の三つの役割があるためです。①タイヤのように足裏を地面の起伏に適応させる、②重心バランスの乱れを脳に伝達する、③バランスの乱れを修正して、姿勢を制御する。
足裏には、内側、外側、横と三つのアーチがあるのですが、このうち一つでもアーチが機能しなくなると、足関節だけでなく脚全体のパフォーマンスが低下して、姿勢と歩行フォームが劣化します。
一般的には、「土踏まず」と呼ばれる内側のアーチが重要視されがちですが、実は、姿勢と歩行フォームを改善させるためには、外側アーチのケアが同じくらい大事なのです。
「そばを打つように足裏をこねる」
写真のように直径5センチの棒を購入して、そばを打つように、踵から足の指にかけて体重をかけながら、ゆっくりと棒を転がしていきます。それぞれのアーチを圧迫しているときに、特に痛むところを10~15秒間圧迫します。
最後に、外側アーチの凝っている場所を、棒でじっくりとほぐします。「こんなところが凝っていたんだ!?」と驚かれることでしょう。青竹踏みでは、小さなシコリに上手く当たらないので、転がせる棒をお勧めします。
マッサージ後に立ってみると、これまでと重心バランスが変わっていて、足が横に広がったような感覚と、なんとも言えない安定感を感じるはずです。
テレビや新聞をチェックしながら、棒で足裏をこねる習慣を身につけて頂ければ、その効果を実感して頂けるはずです。
【プロフィール】
伊藤和磨(いとうかずま)1976年7月11日生まれ 東京都出身
メ ディカルトレーナー。米国C.H.E.K institute 公認practitioner。2002年に「腰痛改善スタジオMaro’s」を開業。『腰痛はアタマで治す』(集英社)、『アゴを引けば体が変わる』 (光文社)など14冊を出版している。「生涯、腰痛にならない姿勢と体の使い方」を企業や学校などで講演している。