ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | テメル=就任2カ月で16の暫定令=コーロル以来の多さ=経済復興の施策を次々と=財政支出の上限設定案など
20日のテメル大統領代行(Marcos Corrêa/PR)
20日のテメル大統領代行(Marcos Corrêa/PR)

テメル=就任2カ月で16の暫定令=コーロル以来の多さ=経済復興の施策を次々と=財政支出の上限設定案など

 ミシェル・テメル大統領代行(民主運動党・PMDB)が就任2カ月で暫定令(MP)を16件提出しているが、これはフェルナンド・コーロル大統領が就任初年の1990年の最初の2カ月以来の多さとなる。21日付伯字紙が報じている。

 このMPの多さは、歴代大統領の就任2カ月間の数字の中でもかなり目立つ。ジウマ大統領は1期目の2011年に4件、2期目の15年が3件と、かなり少ない。一方、同じ労働者党(PT)の大統領でも、ルーラ氏は1期目の03年が6件、2期目の07年が13件と、ジウマ氏よりはかなり多めだ。
 一方、民主社会党(PSDB)のカルドーゾ氏は、MP継続には「120日以内に議会での承認が必要」という条項が撤廃されていた時期(02年に復活)に就任しているので、95年に1件あるのみだから参考にはならない。
 コーロル元大統領の停職(後に罷免審議中に辞任)後、92年9月29日に大統領代行となったイタマール・フランコ氏(PMDB)は4件。そして、その前のコーロル氏が27件と多かった。
 MPは軍事政権時代の大統領令(デクレット・レイ)に代わるものとして設けられ、緊急時などに対応するために用いるが、120日以内に議会の承認を得ることができなければ、法律としての効力を失う。
 このMPが多いと、議会側からは「立法権を軽視」し、三権分立を揺るがすものとして、批判が飛びやすい。MPの有効期限は「120日以内」と定められているため、議会としてもその審議を最優先せねばならず、議員の提案が後回しになるためだ。ジウマ大統領は13年に議会の圧力でMPの発行数を制限されている。
 テメル氏のMP提出状況について、連邦政府側の正式なコメントはないが、側近によると「(テメル氏は)ブラジルを危機から救い出し、国の信頼を回復させるためにやっている」と語っている。
 テメル大統領代行がこれまでに提出したMPの代表例は、公私共同投資プログラム(PPI)や学生支援金制度の変更、一度は廃止にした文化省の再設置、そして、現在最大の懸案事項となっている、教育や保健部門も含めた政府支出の向こう20年の財政支出上限設置などがある。
 なお、コーロル大統領時代も、ブラジルが未曾有のハイパー・インフレに陥っている頃だった。
 なお、財政支出を減らしたいことで知られるテメル暫定政権だが、同大統領代行は20日、19年7月までに連邦司法関係者には最大で41・47%、連邦検察庁職員にも12%の値上がりとなる給与調整案に対し、大統領拒否権を行使することなく、議会からの提案のまま裁可している。