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アルストン=サンパウロ州地下鉄で契約更新へ=負債軽減も工期遅れも大きく

 ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)のサンパウロ州政府が今年1月に、サンパウロ市地下鉄の工事を受け持っているフランスのアルストン社の負債を大幅に軽減し、1億1600万レアルの負債を不問に伏した上、大きく遅れている工期の2021年までの延長を認めることで合意したと、24日付伯字紙が報じている。
 アルストン社は、ジョゼ・セーラ氏(PSDB)がサンパウロ州知事だった2008年に「1、2、3号線の効率化」を目的に7800万レアルでサンパウロ市地下鉄と契約を結んだ。
 その契約だと工事は2011年までに終わるはずだったが、12年に2号線が完成したのみで、後は遅れていた。
 地下鉄側はこれを不満とし、契約解約も辞さない構えだったが、アルストン側が新デジタル・システム導入のためには、地下鉄側がそれに対応できるようにする必要があるとして反論し、2013年1月に国際商業裁判所に訴えていた。
 この裁判で、地下鉄側は工期遅れで受けた損害として2億8910万レアルの賠償金を求めていたが、アルストンは、新たな工事にかかった追加費用1億7310万レアルの支払いを求めた。
 だが、15年8月に、地下鉄側が求める賠償額から同社が求めた必要経費を差し引いた1億1600万レアルの負債を不問に伏すことで示談が成立し、アルストンは訴訟を取り下げた。
 アルストンに要求されているのは、路線の近代化と電車と電車の間隔を短縮するためのデジタル・システム作りだが、同システム完成は21年になるという。08年の計画より10年遅れることになるが、地下鉄側はこれを認めた。ただし、両者が提示していた損害額や経費は、会計検査院の算出した金額と大きく異なるが、そのことに関する説明は一切ない。
 アルストンはマリオ・コーヴァス知事(PSDB)時代の1998~03年に州の電力事業で贈収賄工作を行った疑惑で08年から捜査を受けているが、裁判には発展していない。