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『セクロピア 一本の木、たくさんの命』刊行

 「皆さん、大好きな木はありませんか。この本を読んで、眠っていた記憶を思い出してみては」と語るのは、国立アマゾン研究所で菌類学を研究する石川ノエミア和江農学博士(43、三世)。『セクロピア 一本の木、たくさんの命』の編者の一人だ。
 「キノコが大好き」と語る石川さんが、研究室の窓から発見したキノコから物語が始まる。観察から転じて、それに栄養素を与えている一本の木「セクロピア」に着目し、それを中心に展開される動植物の生態系について、温かなタッチのイラストとともに描かれた作品だ。
 その木は道路工事のために、ある日伐採されてしまう。「アマゾンの生物多様性について、多くを教えてくれた大好きな木だった」と感慨深げに語る。同書は日ポ英語の三カ国で表記、「国籍や老若男女問わず、たくさんの人に読んでもらえるように心掛けました」とのこと。
 28日にサンパウロ市のリブラリア・クルトゥーラ(Avenida Paulista, 2073)で出版記念会が開かれる。序文を寄稿した有名シェフのアレックス・アタラ氏のサイン入り本が限定100冊販売される予定。石川さんは「ぜひ手にとって見てください」と呼びかけている。