ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事(社会民主党・PSDB)とサンパウロ州議会がメトロの高齢者無償利用対象年齢を拡大後、高齢者の無償利用が倍増し、地下鉄公社が財政危機に直面している。27日伯字紙が報じた。
情報公開法によると、2013年は2500万回だった高齢者の無償利用回数が、昨年は専用ビリェッテだけで5100万回に増加した。03年制定の連邦法高齢者規約では公共交通機関が無料になるのは65歳以上で、60~65歳は条例で規定された州や市のみで無償利用できる。
13年末、サンパウロ州議会は州の公共交通機関(メトロ、CPTM、EMTU)の利用を60歳から無償化する事を承認、14年7月から適用した。60歳以上の人は市内バスや長距離バスも無償化されている他、法的手続きが優先され、イベント入場料も半額となる。
無償利用者増加は地下鉄公社の経営を圧迫しており、同公社は今週、98年以降初の自主退職者募集を始めた。地下鉄公社の経営難は、無償・半額利用者の増加と、州政府からの補助減額によって起きている。無償または半額での利用者は、高齢者や学生、障害者、失業者、軍警、市警備隊員、裁判所職員などだ。
地下鉄公社はこれらの利用者の分の料金収入に見合う額を州政府から受け取ることになっているが、近年は州政府の支払いが満額ではない状況が続き、投資減額や運営費削減を迫られている。
ブラジル公共交通機関協会のロジェリオ・ベウダ氏は「政治家は無償化で何が起きるかを理解していない。高齢者は増える一方だが、州政府は経済面の影響まで考慮していない」という。
元教員のカーチア・アントゥネスさん(70)は「ずっと働いて貢献してきた分を享受してるだけ。無料で出かけられるのは素敵よ」と語った。