サンパウロ市市長選で、マルタ・スプリシー氏(民主運動党・PMDB)の副候補にアンドレア・マタラゾ氏(社会民主党・PSD)を据えたことは、ミシェル・テメル大統領代行(PMDB)の18年の選挙を見通した策略と、28日付フォーリャ紙が報じている。
マルタ氏とマタラゾ氏が各々、労働者党(PT)と民主社会党(PSDB)という、積年の対立関係にある二大政党出身であるにも関わらず連立した話は27日付本紙でも報じたが、そこにはPT、PSDBの不満分子を利用したテメル氏の思惑がある。その鍵を握るのがジョゼ・セーラ氏だとフォーリャ紙は指摘している。
セーラ氏はテメル暫定政権の外相だが、元々、PSDBの大統領候補を希望している。だが、PSDB内では14年の大統領選に出馬したアエシオ・ネーヴェス党首か、ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事を18年の候補に推す声が強い。アウキミン氏はジョアン・ドリア氏をサンパウロ市市長選候補に擁立することに成功したことで、党内の勢いが増している。
セーラ氏としては離党してでも8年ぶりとなる大統領選出馬を果たしたいところで、同選挙にPMDBの独自候補を立てたいテメル氏には渡りに舟だった。セーラ氏の親友で、PSDBのサンパウロ市市長候補争いに敗れたマタラゾ氏がマルタ氏の副についたのは、セーラ氏との会話を通し、単独で市政に参入するのは難しいことを認識した結果だが、最後の決め手はテメル氏の電話だった。この連帯も、セーラ氏のPMDBからの大統領選出馬への伏線だというのだ。
また、この戦略は、マタラゾ氏が現在所属するPSDのジルベルト・カサビ氏を取り込んだものでもあるという。テメル暫定政権で科学技術相をつとめ、前サンパウロ市市長でもあるカサビ氏が党首をつとめるPSDがPMDBと接近すれば、18年のサンパウロ州知事選でPMDBとPSDが共闘を組む可能性が高まるからだ。
PMDBとPSDの接近が、18年のサンパウロ州知事選に有利に働くと見ているのは、テメル氏の親友でサンパウロ州工業連盟(Fiesp)会長のパウロ・スカッフィ氏だ。同氏は14年のサンパウロ州知事選にPMDBから出馬、アウキミン氏に次ぐ2位で終わったが、PSDとの共闘が成立すれば、カサビ氏を副知事候補とすることが可能となる。
テメル氏の狙いは、PMDBの候補に大統領選やサンパウロ州知事選にもつながる影響力を持たせることにより、ブラジル政界で長く続いている「PT対PSDB」の二大政党時代を終わらせることとフォーリャ紙は分析する。セーラ氏は2002年と10年の大統領選で決選投票に進んだが、ルーラ氏とジウマ氏に敗れている。
また、PSDは18年の大統領選に独自候補を立てることを希望しているが、その有力候補の一人は、テメル暫定政権で財相をつとめているエンリケ・メイレレス氏だ。
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