【既報関連】24日に入居が始まったが、居室内の電気配線や電力供給などに問題があり、豪州オリンピック委員会(AOC)などが入居を拒否するという問題が起きていたリオ五輪選手村で、新たな問題が指摘され、リオ五輪組織委員会に31万5千レアルの罰金が科せられたと28日付伯字紙などが報じた。
選手村は海岸に似せた憩の場や理容室まで設けた豪華なスペースとの謳い文句がある一方、工事が未完成であった事や、水漏れ、床の汚れなどに対して複数の選手団から苦情が出ていた。五輪委員会は問題解決のため、配管工ら500人を派遣し、大急ぎで改修工事を行わせたが、これによって生じたのが、労働手帳に記載もせず、最大23時間という非合法的条件で働く労働者の問題だ。
選手村の改修工事は突貫工事的な要素が強かったのか、労務省の下部機関が27日に行った監査では、630人に及ぶ労働者が正規の雇用契約もなく働いており、朝7時から翌朝6時まで働いたという労働者が複数いる事などが判明した。
労務省はこの実態に懸念を示し、各労働者との契約書などの提出を求めると共に、1人500レアル、計31万5千レアルの罰金を科した。リオ市のエドゥアルド・パエス市長は、この件は五輪委員会の責任とした上、「5~6日以内に解決するはず」と答えた。五輪委員会も同日、早期解決のため、全ての書類を提出すると回答した。
一方、選手村の実態について最も厳しい批判を行った豪州選手団は、3日以内に解決するとの約束とその結果に満足し、27日に入村し始めた。
豪州選手団の入村の際は、パエス市長が鍵を手渡す儀式が行われたが、パエス市長は約束の時間に30分遅刻。同市長はAOCのキティ・チラー氏が24日に行った批判に対し、「リオ市の選手村はシドニー五輪の時の選手村よりずっと良い」「彼らが母国にいるかの雰囲気を味わえるよう、宿舎前にカンガルーを置いてあげる」と反論した事を詫びた上、五輪のマスコットを贈った。
これに対し、チラー氏はファイティング・カンガルーの縫いぐるみと同国選手達のユニフォームをプレゼント。最初に入村した選手達がチラー氏と共にパエス市長を囲んで笑顔を見せる写真や、同国選手団が入る棟の入り口に置かれたダチョウやカンガルーの模型の写真はAOCの公式ツイッターにも掲載された。