リオ五輪開催5日前、サッカーの初戦からは4日前の7月31日、サッカー五輪代表の正キーパーがウェーヴェルトン(アトレチコ・パラナエンセ、28)に急遽代わったと発表された。
これは、本来、正キーパーをつとめるはずだったフェルナンド・プラス(パルメイラス)が7月28日の練習中に訴えた右ひじの痛みが、30日になっても引かず、骨折が疑われたためだ。38歳のプラスには主将としての役割も期待されていたため、残念な欠場となった。
だが、この欠場であわてたのはブラジル・サッカー協会(CBF)の方だった。それはプラスが、3人までしか使えないオーバーエイジ枠の選手で、さらに現状の5人の補充選手枠にはキーパーが含まれていなかったためだ。
そこで、代表を18人に絞り込む前の、35人のプレ・リストまでさかのぼってみたところ、正規の23歳以下のキーパーは、ジャン(バイーア)とジョルディ(ヴァスコ)、オーバーエイジ枠ではアリソン(ASローマ)が入っていた。
だが、問題は、現在のセレソンでは正キーパーのアリソンにローマ側から出場許可が下りていないことで、アリソンの出場は望めなかった。
ただ、今回の場合、ブラジルにはひとつの抜け道があった。それはこの35人のリストが、ミカーレ監督ではなく、前セレソン監督のドゥンガ氏によって選出されたものだったからだ。
そのため、ミカーレ氏が改めて選んだキーパーがウェーヴェルトンだった。全国選手権では常に中ほどのランクのアトレチコ・パラナエンセのキーパーで、セレソン選出経験はどの世代においてもない。全く意外中の意外の選出だった。
だが、ミカーレ監督いわく、ウェーヴェルトンは「前から良いキーパーだと思って注目していたんだ」とのことだった。同監督によると、彼の能力は現セレソン監督のチッチ氏も高く評価しているという。
実はCBF側は、国際的に実績のあるジエゴ・アウヴェス(ヴァレンシア)の出場許可の準備も進めていたが、ミカーレ監督がウェーヴェルトンの方を好んだという。
ウェーヴェルトンは7月30日夜、全国選手権の対スポルチ戦で2点を取られて敗れて帰宅した際にミカーレ監督から電話を受け、セレソンに召集され、1日午前7時、五輪代表のいるブラジリアに向かった。
ウェーヴェルトンは記者会見で、「電話を切った後、家族に『さあ、これから宴会だ』と言ったよ」と語った。さらに五輪代表の印象を尋ねられ、「今までマルコス・ギリェルメとかニコン(共にパラナエンセ)にボールを送っていた選手が、急にネイマールやガビゴルやガブリエル・ジェズスみたいなスターに送るようになるんだぜ」と興奮して語った。
もっともウェーヴェルトンは、今期の全国選手権ではPKを最も止めたキーパーで、足技が使えることでも定評がある。この伏兵が五輪代表に何をもたらすかに注目だ。
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