リオデジャネイロと言えば、世界中の人々は世界三大美港を頭に描くことであろう。コルコバードの丘、ポン・デ・アスーカルの奇岩、そしてコパカバーナの白い砂の海岸、群青の空と紺碧の海―想像しただけで誰しもが心浮き浮きとなり、行ってみたくなるような憧れの都市である。
By Heitor Carvalho Jorge [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or
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この国で南米初のリオデジャネイロ・オリンピックが決定した時のリオ市民の喜びは如何ほどであったか、想像に難くない。我が日系社会も一日千秋の思いで待ち望んでいるのである。日本の選手団全員がメダルを獲得した上に、美しいリオの景観を堪能していただきたいと心から思っている。
オリンピックがこのリオに決定した時は、経済も順調であり、治安は比較的に安定していたので安心していた。ところが、ぺトロブラス公社に端を発したブラジル政治史上最大の汚職事件(メンサロン事件)が発覚し、多数の政治家が逮捕された。そして最近では、LJ(ラバジャット)作戦(報償付供述)で再び多くの賄賂にかかる事件が暴露され、政治家が逮捕され、政治不在の混乱で市民生活は塗炭の苦しみに陥っている。
オリンピックが近づくと共に、ブラジルの政治・経済は益々混迷の一途を辿っている。その中で最も憂慮しているのは、外国人観光客を狙った犯罪である。実際にオリンピック選手が競技用の自転車を強奪され、また、ドイツが輸送したオリンピック放送用大型機器類がトラックに積んであったコンテナごと強奪された事件が起きている。
それにも増してこのところ、世界各地で過激派組織ISが無差別テロを起こしている。喫緊の例では14日、フランス独立記念日の祝日に、花火を見物している群衆の中を、銃を発砲しながら単独犯によるトラックテロ事件が起き、84人が死亡した。また、この原稿を執筆中には、8月5日に開幕するオリンピックを狙ったテロを計画した容疑で、警察が10人を逮捕したと報道された。
このような混沌とした世界情勢の中でオリンピックを成功させるためには、絶対的治安の確保が必須条件である。大会期間中、8万5千人の警察や軍兵士が増員され、また外国からも多くの警察が協力することになっており、盤石な治安対策が実施されるようである。
もし、期間中前後にわたって事件が起きた場合には、一瞬にして電波に乗って世界中に流れ、悪名高きリオ・オリンピックになってしまう。私はリオが心から好きだからこそ心配しているのである。そのような事件が一件も起きないように祈っている。
8月5日の開催日まで、もう僅かしかない。リオ・オリンピックが成功か否かは、テメル大統領代行の暫定政権に全てが掛っている。日本を含む世界各国からの選手が安心して競技が出来、またお客さんにも楽しく観戦していただきたいと願っている。
日本では毎日のように出場する選手が発表され、益々オリンピック機運が盛り上がっている。今回ほどメダル獲得に意欲を持った選手が多いのに、驚きかつ頼もしく思っている。リオの次には東京オリンピックが待っている。
今回の競技では相当数のメダルが期待できると思う。「体操競技団体で『金メダル』を獲得します!」と内村航平選手、テニス世界第6位の錦織圭選手は、「日本のこれからの、ちびっこ選手のためにも『金メダル』を獲得してきます」と語っていた2人の笑顔がとても印象的であった。
最後にこのようなことを書くのは気が滅入るのであるが、あえて執筆することにした。テレビのニュースでオリンピックに出場する選手やグループが「頑張ってきます!」「自分の持っている限りの力を発揮してきます!」等々皆が笑顔で決意を述べていた。テレビを見ていにる方も「頑張れ!」と応援したくなってくる。
その選手やグループの会見が終わった後で、ゴルフの松山秀樹選手が「ブラジルは『治安』が悪い上に、『ジカ熱』が脅威なのでオリンピック出場を辞退する」旨のことが放映された。『えっと!』一瞬耳を疑ってしまった。背筋に悪寒が走った。
ジカ熱に罹った妊婦が、発症して小頭症の赤ちゃんが生まれてしまう可能性はある。男性が罹ってもそれ程影響はないと思うのだが・・・しかも蚊は夏に繁殖し活動するが、現在は冬であるのでそれ程心配はないと思う。治安の方は、非常に悪いが、選手が競技をする時には、それなりの警備体制を敷かれるので心配はないはずである。
それにしても出場者全員が同じ条件の下で、自分だけが「治安が悪い」「ジカ熱」が怖いと云ってオリンピック出場を辞退するのは、あまりにもお粗末な心の持ち主ではなかろうかと、私は思えてならない。いや私一人だけではないと思うが、如何であろうか。
いずれにしても、リオ・オリンピックが無事故で大成功裡に終了することを祈るのみである。
「冬晴れや南米初のリオ五輪 浩二」