大盛況に終わった5日のリオ五輪の開会式。その中での様々なパフォーマンスが、開会式が終わって数日経っても人々の話題になっている。こと、音楽に関して言えば、最も話題を呼んだのは、ブラジル音楽界の巨匠、カエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルと共に名曲「ブラジル」を歌った、あのアニッタだ。
開会式でのパフォーマンスへのアニッタの参加は、期待よりも不安視する向きのほうが目立っていた。アニッタはここ3年で台頭してきた23歳の歌姫だが、「その程度の芸歴で世界的な場での歌がつとまるのか」との声が強かった。音楽どころのブラジルでは元来、アイドルが強い土地柄ではなく、歌唱力や実績を尊ぶ傾向がある。「もっと、ふさわしいベテランがいるだろう」という声が大きかったのだ。「もし彼女が、年配の人も多く見ている場で、露出度の多い衣装で自分のヒット曲でも歌い、踊りでもしたら」と予想して心配する人が多かった。
だが、いざ、ふたを開けてみると、アニッタはシックな黒の衣装に身を包み、御大2人に優しくエスコートされるように、1940年代以来、数々のジャズやポップスのカバーで知られる名曲「ブラジル」を、緊張した風もなく、にこやかに堂々と歌った。この共演はカエターノ自身が望んでいたと言われているが、彼らが彼女に歌いやすいような絶妙な雰囲気作りを行ったのも功を奏したのだろう。
このパフォーマンス後、世界中のメディアがアニッタを褒め称えた。アメリカのニュースサイト「バッスル」は、彼女を「アリアナ・グランデと少し前のレディ・ガガを足したようだ」と形容した。ニューヨーク・タイムス紙は「サンバやファンキといったブラジル音楽に、ビヨンセの雰囲気を足した感じだ」と評した。また、世界的芸能メディア「E!」は、彼女のカエターノやジルとの共演を「優雅」と称した。さらに世界的なファッション誌「ELLE」カナダ版では「あの娘は誰? アニッタに注目」とツイートし、注目を集めた。
アニッタはこの夜、全世界で1290万行われたリオ五輪関連のツイートの中で、ミシェル・テメル大統領代行とモデルのジゼリ・ブンチェンと並び、最も名前の挙がったトップ3にも入った。日頃は前述の理由や人気への嫉妬から厳しいツイートも目立っていたアニッタだったが、そうした人たちも賞賛に転じていたという記事も報道されていたほどだ。
アニッタはこの開会式後の自身のツイートで、「どんなに言葉を尽くして表現しようとしてもとても出来ないほど特別な夜だった」と感謝を述べていた。(6日付シフラクラブ・ニュースより)
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