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クラコランジア=取締り後も実態は変わらず=麻薬売買などはいまだ活発

 サンパウロ市ルス区の「クラコランジア」では、5日の警察による取締りで37人が逮捕されたにも関わらず、麻薬密売人による麻薬取引とその消費が活発に行われており、9日には取締り前と同等の規模で麻薬を吸い、交流する人々が見受けられた。9日付フォーリャ紙が報じた。
 ジェラウド・アウキミンサンパウロ州政権での取締りは麻薬常用者が集まるクラコランジアと、浮浪者たちが住み着いている閉業中のホテル、シネ・マロッコスを対象として行われ、500人以上の市警や軍警が参加した。
 逮捕された37人の中には、シネ・マロッコスの占拠を推進していたサンパウロ・ホームレス運動(MSTS)のリーダーらも含まれている。警察では、MSTSは州都第一コマンド(PCC)の指揮下にあり、同ホテルを麻薬取引の拠点として使っていたと見ている。
 取締りの3日後、クラコランジアの中核をなすアラメーダ・ジノ・ブエノや同エウヴェーチア、コラソン・デ・ジェズス広場の様子に変化は見られなかった。麻薬常用者は1日中クラックを吸い、警察に邪魔されることもなくクラックを分配する様子も見られた。
 フェルナンド・ハダジ市長管轄化の市警備隊員や、サンパウロ市やサンパウロ州の保健課職員の見方も同じで、市警備隊のエジヴァウド・フェレイラ・ケレガッテ氏(36)は、「麻薬常用者や麻薬密売人への職務質問などが増えただけで、クラック使用は続いている」と語った。
 サンパウロ州保安局は、同地区での薬物取引を抑制し、保健衛生や社会福祉活動を支援するために、警官の活動を継続するとの意向を表明した。サンパウロ市とサンパウロ州は同地区で、雇用促進プログラムの「開かれた腕(ブラッソス・アベルトス)」や薬物依存治療プログラム「再始動」などを展開している。
 州保安局によると、警察によるパトロールや捜査は継続して行われており、今年は麻薬取引で140人を現行犯逮捕したという。サンパウロ市役所の「開かれた腕」は、同地区の麻薬常用者に、住居や仕事、医師による指導や治療などを提供している。
 なお、ハダジ市長は5日、同日行われた市警や軍警による取締りについて、事前に知らされていなかったと語っている。