ホーム | 日系社会ニュース | 五輪柔道=期待の日系2人、夢破れ=知花は初戦敗退、海老沼に=キタダイ健闘もメダル届かず
組み手で激しい攻防を見せる知花(右)と海老沼
組み手で激しい攻防を見せる知花(右)と海老沼

五輪柔道=期待の日系2人、夢破れ=知花は初戦敗退、海老沼に=キタダイ健闘もメダル届かず

 【リオ発=小倉祐貴記者】南米初の五輪リオデジャネイロ大会が開幕を迎え、6日に柔道男子60キロ級のキタダイ・エイジ・フェリペ(27)が、翌日に同66キロ級の知花コウシロウ・チャールズ(26)が登場した。共にメダル獲得を目標に掲げていた日系三世だが、表彰台には到達できず。期待されていたメダルをもたらすことはできなかった。

果敢に攻めるキタダイ

果敢に攻めるキタダイ


 大会初日の6日に登場したキタダイは、前回ロンドン大会の銅メダリストであることから、今大会でも大いに期待されていた。会場のバーハ・オリンピックパーク内にあるカリオカアレーナ2には、サンパウロ市からキタダイの家族ら30人以上が駆けつけた。遠く南大河州ポルト・アレグレの所属クラブ「SOGIPA」からも、多くの応援団が駆けつけた。
 また知花の応援団にはサンパウロ市から日帰りバス2台で約80人が駆けつけていた。応援団はおそろいのTシャツに身を包み、表彰台へ後押ししようと会場いっぱいに響く大声援を送った。
 場内アナウンスで彼らが紹介されると、ブラジルコールと足を踏み鳴らす轟音が鳴り響いた。
 キタダイはトーナメント初戦から苦戦を強いられた。相手は今年の欧州選手権を制した強豪ワリド・キヤー(フランス)。同格の相手に指導2つでリードを許すも、残り8秒で投げ技から有効を奪い逆転勝ちした。
 サンパウロ市在住の父エドゥアルドさん(56)は、「力強く戦ってくれた。先行されても心配はなかった。信じていた」と握りこぶし。次戦も有効で優勢勝ちするも、準々決勝では一本負け。午後からの敗者復活戦にまわった。
 父が「集中して戦ってほしい。疲れはないはず」とエールを送るも、ウズベキスタンの選手に再び一本負け。引き揚げるキタダイの目にはうっすらと涙が浮かんだ。
 翌7日には66キロ級に知花が登場。汎米王者として母国の五輪に臨むも、世界選手権を3連覇した海老沼匡(日本)に初戦でまさかの一本負け。13年のリオ大会では僅差で敗れた因縁の相手に、雪辱を果たすことは出来ず。4年間の特訓の成果は、たった5分で幕を閉じた。
 父マリオさんは「メダルを取って『ブラジルには強い日系人がいるんだぞ』って日本に届けたかった」と無念の表情。祖母の弘子さん(79、沖縄)もがっくりと肩を落としながら「また一から鍛錬を積んでほしい」と声をしぼりだした。
 最初の週末で日系柔道家2人の夢が、母国の大舞台ではかなく散った。


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 世界の壁を前に、リオ五輪で夢破れた2人の日系柔道家。共に1989年生まれなので、彼らがあと4年間、鍛錬を続ける気があれば、20年東京五輪を30代で迎えることになる。特に知花チャールズは沖縄県系の純血三世。その時は、母県からの応援もさぞかしすごいだろう。混血とはいえ、キタダイ・フェリペにとってもルーツがあることに変わりない。一休みしてリオのショックから立ち直ったら、その悔しさをバネに東京五輪を、より充実した晴れの舞台にしてほしいところ。