ホーム | ビジネスニュース | 罷免投票でドル下がる=昨年7月から約20%低下

罷免投票でドル下がる=昨年7月から約20%低下

 上院議会で9日、ジウマ大統領の弾劾裁判開始を問う全体投票が行われた。それにより、9日のドルは前日比0・87%下げて1ドル=3・142レとなり、昨年7月15日以来の最低値を記録した。10日付エスタード紙が報じた。
 ジウマ氏の罷免は不可避との見方は前からあったが、9日の上院で弾劾裁判開始が大差で決まるとの見方がドル値低下につながった。この投票結果はミシェル・テメル暫定政権の財政調整策を後押しし、外国人投資家を魅了する。「罷免投票は分水嶺で、今後はさらに資本の流れを増加させるだろう」とインターカム証券会社のグラウベル・ロマノ氏は見ている。
 リオ・カトリック総合大学教授でオーパス証券会社の経済分析家のジョゼ・マルシオ・カマルゴ氏は、テメル暫定政権の経済政策は今回の上院決議でより確実となり、ブラジルへの資金誘致に役立つとの見解を示した。同氏は「ブラジルの経済危機ランクが下がり、高金利が続けば、短期間の資本を引きつけ、レアルの価値を高める」と見ている。
 テメル暫定政権の継続は、経済スタッフが改革を進められるか否かにかかっている。「暫定政権が適切な改革を行えば、ブラジルへの資本投資は増え、レアルの価値が上がる」と予測している。
 上院が罷免審議を行っている間、下院の憲政委員会が公共支出の上限を定める憲法補足法案を承認した事もブラジルへの投資増加の一因となった。
 レアル高は国内の輸出業者が警戒するところだが、16年に入ってからのドルはレアルに対し20・6%低下したが、外部要因が国内の経済危機を緩和している、ブラジル貿易会のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ氏は「今回の為替の動向が輸出に影響するのは17年以降だ。先物で売った人は、輸出時に損失を被ることになる」と語った。