ドイツ人カップルのティム・ドゥショウさん(36)とシェニア・サンデックさん(35)にとって、リオ五輪の開幕は8月5日よりもずっと早かった。
4年間節約してためたお金を持って今年の5月にドイツをたった2人は、8月1日にリオの地に到達した。
ライプツィヒ在住の2人は、キャンピングカーを拠点に、英国、モロッコ、セネガル、ウルグアイを巡ってブラジルにたどり着いた。
ティムさんは、5月17日にハンブルグ港からキャンピングカーごと船に乗り、ウルグアイに向けて出発した。6月24日にウルグアイの首都モンテビデオで、飛行機で来ていたシェニアさんと合流した。
そこから5日かけて、ブラジルのサンパウロまで3千キロを走破。さらに3週間、リオデジャネイロ州のパラチーやアングラ・ドス・レイスを通り、リオ市に到達した。
シェニアさんはキャンピングカーに雨よけのためのビニールシートを貼りながら、「もうヨーロッパ中を旅したから、私たちの夢は、もっと遠く、南米に行くことだったの。旅はすばらしかったわ」と語った。「南半球は冬と言うけど、ドイツから来た私たちには、夏みたいですごしやすいわ」と言うシェニアさんたちは、このシートを日よけとしても使うことになる。
スター・トラベル(スペイン語ならエストレジータ、ポ語ならエストレリーニャ)と名付けられたキャンピングカーは、リオ市の隣のニテロイ市内に停められている。キャンピングカーはバス並の大きさで、中にはダブルベッドやリビングルーム、キッチンもついている。
2人は今のところ、五輪の試合を一度も観戦していない。「チケットが高いから、どうにかならないかなって様子をうかがっているところ。たとえ試合が見られなくても、リオの街をこの車でドライブして、人々と交流したい。試合観戦は二の次。テレビがある所で見れば構わないわ」とシェニアさんは語る。
ブラジル人はいつも親切にしてくれたという二人にとって、唯一の問題はサンパウロでGPSの進路指示にしたがったらファヴェーラに入ってしまったことだという。
「現金自動預入・引出機(ATM)を探していたが、狭い道に入り込み、小銃を持って、大型犬を連れた若者の姿を見たとき、これはおかしいと気づいてすぐに退散したよ」とティムさんは振り返る。
「身の回り品に注意するように」と周りからはさんざん言われたが、彼らは特に危険を感じていない。「リオは世界一安全、ブラジル人は皆親切」とシェニアさんは語る。二人はさらに、ブラジルの肉やパステルがおいしいと賞賛の声を惜しまない。
五輪閉会後、2人はブラジリア、パンタナール、イグアスの滝、アルゼンチン、チリ、ペルー、コロンビアと旅を続ける予定だ。
帰国予定は決まっておらず、「お金が尽きたらそのとき、どうするか考えるよ」とティムさんは笑っている。(12日付G1サイトより)
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