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16日のジウマ大統領(Roberto Stuckert Filho/PR)
16日のジウマ大統領(Roberto Stuckert Filho/PR)

ジウマ=弾劾裁判前最後の訴え=反響は小さくひややか=PT内部からも反発の声=LJ妨害での捜査開始も

 16日、ジウマ大統領は、25日からはじまる弾劾裁判を前に、国民と上院に向けた最後の手紙を読み上げたが、反響はもうひとつだった。その一方、同大統領がラヴァ・ジャット作戦(LJ)を妨害しようとしたとの疑惑に関し、最高裁が捜査の許可を出した。17日付伯字紙が報じている。

 ジウマ大統領は記者会見で、弾劾裁判前の最後の訴えとして、弁明のための手紙を読み上げた。
 その内容は大統領罷免審議が噂されはじめた頃から一貫して主張し続けているもので、自身が「明白なるクーデターの被害者」であり、「真に審判を委ねるべきは全国1億1千万人の選挙有権者だ」として、再度の大統領選挙をやるべきか否かを問う国民投票の実施を呼びかけた。
 だが、この手紙に対するメディアの反応は決して大きくはなく、伯字紙での扱いもあまり目立つものではなかった。
 それどころか、所属の労働者党(PT)内部からも冷ややかな反応が見受けられた。弾劾裁判で投票を行うPT上議たちこそ、人気のない連邦議会でジウマ氏の手紙の読み上げを行うなどの抵抗運動を行ったが、党内では「もっと早く行動すべきだった」との声が大きい。党首のルイ・ファルコン氏も、読み上げには反対だった。
 また、PT党員の多くは、手紙の内容に不満だという。それは、ジウマ氏が停職前に犯した誤りを認めることなく、「批判は受け入れる」とのみ表現したことだ。
 ジウマ氏は、LJでのPT党員の疑惑や、PT元選挙参謀のジョアン・サンターナ氏が10年の大統領選に関する裏金を14年に受け取ったと供述したこと、サンターナ夫妻の秘密口座での収賄疑惑に関しても、「自分ではなく党がやったこと」との態度をとっており、PT内部で反発を招いていた。
 ジウマ氏が罷免を免れるためには上議28人の反対が必要だが、弾劾裁判開始に反対した上議は21人しかいなかった。
 一方、最高裁のテオリ・ザヴァスキ判事は、ジウマ氏の手紙読み上げの5時間後、連邦検察庁に、LJの捜査妨害の容疑でジウマ氏とルーラ元大統領、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ元法相、アロイージオ・メルカダンテ元官房長官、フランシスコ・ファルコン連邦高等裁長官、マルセロ・ナヴァーロ・リベイロ・ダンタス連邦高等裁判事、デウシジオ・アマラウ元上議の7人に対する捜査開始を認める判断を下した。
 これは、ペトロブラス元国際部長のネストル・セルヴェロー被告がLJの報奨付供述に応じないよう口封じを試み、昨年11月に現行犯逮捕されたデウシジオ元上議の供述などに基づく判断だ。
 ジウマ氏を除く3人は現在公職にないが、ジウマ氏も罷免されれば、裁判の管轄はパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事になりうる。ただし、高等裁判事らの関与が立証されれば、最高裁での審理となる。