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市長令後に浮浪者拠点増加=所持品没収恐れず住み着く

 極寒だった6月に路上生活者を守るためにサンパウロ市のフェルナンド・ハダジ市長が出した市長令、通称「レイ・ド・フリオ」以降、市内各地に路上生活者が住み着き、「小さなファヴェーラ」と言われるような場所が増えたと18日付フォーリャ紙が報じた。
 ハダジ市長が出した市長令は、市職員が路上生活者のテントを解体したり、毛布、段ボールなどを取り上げたりすることを禁じたものだ。
 この市長令によって、市役所が用意した避難所に入るのを嫌う路上生活者らも所持品を取り上げられる心配がなくなり、様々な場所に寒さを避けるための仮小屋などを作り始めたという。
 路上生活者たちが仮小屋などまで作りはじめたのは、広場や高架橋の下などで、23・デ・マイオ大通りにできた路上生活者の住まいには、ソファーや水道、テレビなどもあり、五輪の試合も楽しんでいる。
 6月はじめに市警備隊が路上生活者の毛布なども取り上げていた頃、ハダジ市長は(こういう措置を採らなければ)「ファヴェーラ化が起きる」と発言し、物議を醸した。また、市職員が路上生活者の所持品没収をインターネットで批判されたりしたことで、先の市長令が発布された。
 アマラウ・グルゲウのバスターミナルの傍に住んでいるファビオ・エドゥアルド・ロネジャン氏は「私たちが人のものを持っていけば窃盗になるのに、市役所の人間が自分たちのものを没収するのは窃盗ではないのか?」と疑問を投げかけた。
 ハダジ市長は避難所にまだ空きがあるとして、路上生活者たちの入所を勧めている。サンパウロ市中央のアニャンガバウに住み着いているリタ・デ・ソウザ氏(43)は「避難所では午前5時に起きなければならない。酔っ払いも多いし、ベッドは虱だらけ」と語った。