リオ市警は18日、14日に「強盗に襲われた」と供述していたリオ五輪米国水泳代表の2選手が「虚偽の供述をしていた」と断定し、罰金刑を課したと19日付伯字紙が報じている。
米国水泳代表のライアン・ロクテ(32)、ジミー・フェイゲン(26)は14日、ガナー・ベンツ(21)とジャック・コンガー(20)と共にロドリゴ・デ・フレイタス湖付近のナイトクラブ「クラブ・フランセ」からタクシーで帰る途中、警官を装った強盗に車を停められ、携帯電話と選手証以外の品を盗まれたと供述した。
この話は、ロクテが今大会の800メートル自由形リレーの金を含め、通算6個の五輪メダルを持っている選手であったことも手伝い、世界的に報道された。警察は同日中に捜査を開始したが、ロクテは15日に単独で帰国した。
16日には、14日未明に選手村に帰った4人を映した防犯カメラの映像が公表されたが、そこでの4人は冗談を言い合うなど、事件後とは思えない雰囲気で、証言が疑問視されはじめた。
17日にはロクテが米国のテレビ局NBCに当初の発言と矛盾する証言を行い、疑惑が深まった。「武装した男がタクシーを停め、銃を突きつけて所持品を奪った」という内容が、「ガソリンスタンドで下車し、トイレで用を足していたら襲われ、銃を向けられた」と変わったのだ。
米国水泳選手団は17日に帰国したが、ロクテ以外の選手3人は飛行機から降ろされ、旅券没収後に警察に連行され、事情聴取を受けた。
18日に公表されたガソリンスタンドの防犯カメラの映像には、ロクテらが泥酔状態で床に放尿した様子も映っていた。ロクテらはトイレや看板も破壊、見かねた警備員がタクシーを止め、「察に通報した」というと、一旦逃げたが、仲間が逃げそこなったのを見て戻ってきた。別の男性の通訳で警備員と交渉したロクテらは、50レアル札2枚と20ドル札1枚を手渡して去った。
ブラジル側が「リオは犯罪都市」という国際的なイメージを五輪運営で払拭したいと願う中で起きた事件には、ブラジル民の反響や不満も大きかった。
米国オリンピック委員会は18日に書面でブラジルに謝罪、4人に適切な処罰を課すと約束した。エドゥアルド・パエス・リオ市長も、遺憾の意を表明している。
ガナーとコンガーは14日も虚偽の供述はしておらず、捜査にも協力したため、18日に帰国の途に着いたが、市警はロクテとフェイゲンを告発した。フェイゲンは18日夜、3万5千レアルの罰金を言い渡された。罰金は非政府団体への物資の寄付の形で支払われる事になっており、払うまでは帰国できない。