ブラジル藤村会(梅崎嘉明代表代理)は27日(土)午後2時から、サンパウロ市のサンタクルス病院(Rua Santa Cruz, 398, Vila Mariana)敷地内の藤村記念碑前で『島崎藤村を偲ぶ会』を開く。会費無料、申し込み不要。
1936(昭和11)年、日本ペンクラブ会長だった島崎藤村はアルゼンチンのブエノスアイレスで開催された国際ペンクラブ大会に出席するため南米を訪れ、ブラジルにも足を踏み入れた。そのときに「大和言葉の碑文」を用意、4首が刻まれた記念碑が建立された。
『藤村全集』第14巻(筑摩書房、昭和42年刊)にある『順禮』には、その時の様子が描かれている。《この異郷にある人々が碑の前に足を停め、母国の空をしのぶたよりともして呉れるような日が来たら、どんなにたのしかろう。こんなめづらしい草や木の香で一ぱいな植民地に大和言葉を刻んだ石を置いて、こゝにも新しい世界があることを語るような日が来たら、これまたどんなにたのしかろう》
そんな記念碑を囲んでの島崎藤村を追悼し、同病院内サロンで軽食をとりながらの懇談会が開かれ、詩「初恋」などの代表作を読みあう。有名な「椰子の実」は《海の日の沈むを見れば激(たぎ)り落つ異郷の涙、思いやる八重の汐々いずれの日にか故国(くに)に帰らん》で終わる。今読めばまるで移民の歌だ。
案内のため来社した梅崎さんは「以前は20人もいましたが、今は10人ぐらいでしょうか。文学に関心のある方はぜひご参加ください」と呼びかけている。広川和子さんも「22日が藤村の命日。彼が『順礼』に書いた気持ちに応え、皆で彼を偲びましょう」と呼びかけた。