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負けた時ほど慰めと励ましを

 リオ五輪でのブラジルは、12種目で金7、銀6、銅6という過去最高の結果を残した。だが、ブラジル五輪委員会は、バレーは頑張ったが、柔道や水泳は期待外れと評価した。五輪委員会は27~8個のメダルを望んでいたから、19個では不満だ▼棒高跳びのチアーゴ・ブラスが金を獲った翌日、あっけなく予選落ちしたファビアナ・ムレルは、チアーゴに国外での訓練を勧め、メダルまでの歩みを見守り、導いた人の一人なのに非難の的とされた▼メダルが期待されていた選手や何らかの形で目立っていた選手が負けて叩かれるのは、今大会に始まった事ではない。前大会では2回戦敗退、人種差別的な罵詈雑言も浴びた柔道のラファエラ・シウヴァは今大会で金、北京、ロンドン両大会で失敗して泣いた体操のジエゴ・イポリトは床で銀を獲り、肩の荷を下ろした。だが、水泳のジョアンナ・マラニョンは予選敗退後、前大会のラファエラ同様の批判を浴びた▼とはいえ、勝負に臨む時に負けを願う人はいない。最善を尽くし、少しでも上をと望むのが当然で、負けた時に最も傷つくのは本人なのに、傷口に塩をすり込むような批判を浴びる事は多い。真ん中の娘は五輪中、ラファエラとジョアンナを批判した人達の事で「自分達は五輪にも出られないのに、何年も努力を重ね、五輪出場を果たした人を批判するのか」と声を荒げた▼負けた時や失敗した時に厳しい言葉で奮い立たされる人もいるし、その位の批判で潰れるようなら一流の選手にはなれないと言う人もいる。だが、多くの場合、失意の中にいる人に必要なのは慰めや励ましだ。今回負けた選手が次大会で輝けるよう、声援を送りたい。(み)