日本酒造組合中央会(篠原成行会長)は10日午後、日本酒と焼酎、泡盛の総称に当たる「國酒」文化普及のため、サンパウロ市ニッケイパラセホテルで、セミナーと試飲会を開催した。平日夕方にも関わらず、セミナーには300人を越える飲食業者や一般人が訪れた。
国内市場が縮小する中、同中央会は世界各地で普及事業を進めている。ブラジルでは今回が初。リオ五輪に合わせ開設されたジャパンハウスでの試飲会に続き、サンパウロ市でもイベントを開催した。
今事業には、酒造メーカー各社の役員からなる7人の専門家が来伯。セミナーでは國酒三種の歴史や製造方法、飲み方などを2時間に渡り紹介。篠原会長は「ブラジル産日本酒もあるが、原料が違えば種類も異なる。日本産の國酒との違いを感じてもらえれば」と期待を寄せ、正しい認識を促した。
試飲会を通じ特有の繊細さや味わい深さも体験させた。一口大の日本食とともに食べ合わせを感じさせ、京都銘酒「月の桂」を扱う増田徳兵衛社長は、「日本酒は生臭みを消す効果がある。色々な食事に併せて楽しんでもらえる」と説明。20種以上が準備されたブースには、興味津々なブラジル人が殺到していた。
酒類の小売業を営むジャクソン・ラフィッテさんは、「酒造方法によってこんなに味に違いが出るなんて」と感嘆。初体験という焼酎や泡盛も味わった。
主催した組合はブラジル市場参入も検討するが、輸入品は日本国内の市場価格と比べ、3倍以上になるという課題もある。篠原会長は「他の酒類にとって代わろうというつもりはない。別の選択肢として、お祝い事など晴れの日にでも楽しんでもらえれば」と差別化する意向だ。
また「國酒の歴史は二千年。日本文化を背負っている。文化として定着させていければ。ブラジルの酒類市場は豊かで今後に期待したい」と意気込みを見せた。