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部族語にマリア法を翻訳=マット・グロッソ・ド・スル州で

 マット・グロッソ・ド・スル州のグアラニ族とテレナ族の女性たちに、女性を家庭内暴力などから守るためのマリア・ダ・ペーニャ法を部族語に翻訳した教本が配られることになった。
 同州政府によると、9月から、ドウラード、アマンバイ、アキダウアーナ市にあるグアラニ族やテレナ族の集落で、各言語の教本を750冊ずつ配る意向だという。
 同州は国内で2番目にインディオが多い州で、7万2千人のインディオが住んでいる。そういう意味では、750冊ずつの教本では、州内のインディオ女性全体には行き渡らない。女性政策担当局副局長のルシアナ・アザンブジャ氏は、「教本がどのように受け止められるかを確かめ、増刷のあり方を探るための最初の試験」と語った。
 州保安局によると、州内の女性に対する暴力の告発件数は今年第1半期、昨年同期比で23・1%増えた。エロイ・テレナ弁護士は自身の出身であるテレナ族の村で起きた家庭内暴力事件に複数回対応してきた。
 「多くの女性は、ポルトガル語での説明の難しさと、村の人を通訳として連れて行くことを嫌って、事件の表明を諦めている」と明らかにした。インディオたちの部族語の通訳がいる女性のための警察署は、15年にカンポ・グランデ市にできた署が唯一だ。
 ルシアナ副局長は、今回の教本配布の目的は女性専門の警察署の通訳者を増やすことで、「年末までに新たな通訳と契約を結びたいが、保証はできない。通訳育成はスポンサーが確保できるか否かにかかっているから」と言う。
 シモニ・エロイ・テレナ弁護士は、リオデジャネイロ市のインディオ博物館で女性インディオへの暴行について研究している。同氏によれば「男性が直接暴力を振るわなくても、公共の場に出る事を禁じたり、家に居る事を強要したりする」のも一種の家庭内暴力に該当するという。
 多くの集落では、暴力事件が起きた場合、部族会議で暴行者を罰するか否かを決める。マリア法以前の罰則の一つは、部族会議が集落に帰っても良いと決めるまで暴行者を隔離し、暴行者が悔い改めるまで待つというものだった。「部族の誰かが逮捕されるという事実はとても重いため、家庭内暴力などに苦しんでいても告発したいと考える女性は少ない」という。
 インディオの女性が暴行される事件は決して珍しくはない。ドウラードス市のジャグアピル集落に住む観光専門家のアルジェミロ・デ・ソウザ氏は最近、夫から暴行を受けていたインディオの若者に付き添って、警察まで行ったという。暴行者は1カ月間逮捕されていたが、戻ってから数週間後にまた暴行を始めた。
 ソウザ氏によれば、教本も有益かも知れないが、法令そのものの効力が発揮されるためには警察署で適切な対応がなされる事が大切だという。「法令という形の支援がなければ、暴行者は女性への暴力を繰り返すに違いない」と同氏は強調した。(28日付フォーリャ紙より)