8月31日、ジウマ大統領(労働者党・PT)の弾劾裁判において、上院は61対20の大差で同大統領の罷免を承認、92年のフェルナンド・コーロル氏以来、2人目の大統領罷免となった。だが、ジウマ氏が今後も公職に就くことは認められた。今回の結果を受け、ミシェル・テメル氏(民主運動党・PMDB)は同日午後、正式に新大統領に就任した。8月31日伯字紙サイトが報じている。
前日の上議たちの見解表明が長引いたため、31日未明と見込まれていた投票は、8月31日の午後となった。
この日はまず、ジウマ氏を支持する上議たちがリカルド・レヴァンドウスキー最高裁長官に「投票を2度に分けて行うことはできないか」との申し入れを行った。ひとつは、大統領罷免を問う投票で、もうひとつは、ジウマ氏の罷免後に公職に就けるかどうかを問う投票だ。
フィッシャ・リンパ法では、犯罪により有罪判決を受けた場合、その政治家は、刑期終了後も8年間は選挙に立候補できないことになっている。それが大統領を罷免された人物にまで適用されるか、と問うた形だ。
レヴァンドウスキー長官は「ジウマ氏が罷免になった場合は、政治家として公職に就けるか否かを問う投票を行う」として、ジウマ氏支持者たちの言い分を認めた。
ジウマ氏の罷免投票がコンピューターのボタン式で実施されたのは午後1時半過ぎで、規定の54票を大きく上回る61票の賛成票を獲得した時点で、ジウマ氏の大統領罷免が正式に決まった。
この瞬間、2003年1月1日にルーラ氏が大統領に就任して以来、13年以上続いたPT政権は正式に幕を下ろすことになった。
この後、ジウマ氏の今後の公職就任の是非を問う投票が行われたが、その結果、同氏にはフィッシャ・リンパ法は適用されず、今後の選挙出馬や公職就任は8年を待たなくても認められることとなった。投票結果は、公職就任を「認めない」が42人で、「認める」の36人を上回った(棄権は3人)が、3分の2にあたる54票を獲得しなかったためだ。
レヴァンドウスキー長官は午後2時に判決文を読み上げた上、上議たちに署名を求めた。これで25日から1週間続いた弾劾裁判は終了した。
これにより、5月12日に副大統領から大統領代行となっていたミシェル・テメル氏が大統領となることが正式に決まった。PMDBの政治家が大統領となるのは、85年にタンクレード・ネーヴェス氏の急病(後に死去)で後を継いだジョゼ・サルネイ氏、コーロル氏罷免の後を受けたイタマル・フランコ氏に次ぎ、通算3回目だが、いずれも副大統領からの昇格だ。
テメル氏は同日午後4時からの大統領就任式後、中国で開催されるG20サミット出席のため、機中の人となった。
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