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弁護士二人が泣いた日

 ジウマ大統領の弾劾裁判5日目の8月30日、同氏を起訴した3人の1人であるジャナイナ・パスコアル弁護士と、ジウマ氏の弁護役のジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ元法相が泣いた▼ジャナイナ氏は「ブラジルで何が起きているかに気づかせたのは神であり、彼女の孫達の事も考えた故に同氏罷免を求めた」と発言し、本来の目的ではなかったが、ジウマ氏が苦しまねばならない事態を招いた事を涙ながらに同氏に詫びた▼一方のカルドーゾ氏は「(ジウマ氏をよく知り、無罪を確信するが故に)孫達の事も考えて彼女を罷免するよう求めたとの言葉は余りにも重い」と胸を詰まらせて泣き、「罷免が成立したならいつの日か、別の法相が同氏に(あの時の判断は誤っていたと)謝罪してくれるように」と語った▼民主的な選挙で選ばれた大統領が国民が選んだ議員達の手で弾劾されるという事態は、勝ち負けといった言葉で片付けられない程重く、悲しい。だが、国家財政は火の車なのに、国の経費を公的銀行に肩代わりさせた上、経費にも計上せず返済もしないという形で、国庫収支は黒字と偽ったりすれば、国の現状は国民に伝わらない▼しかも、国庫収支その他の指標発表を遅らせ、国民の目をくらませたままで再選を果たした途端、悪い数字が次々に発表された上、財政立て直しのために呼ばれたジョアキン・レヴィ財相は、その辣腕振りを発揮出来ないまま、その任を降りた▼粉飾会計、財政責任法違反と共に、長びく不況や失業者増加、政治的、経済的危機を招いた責任をも問われる形でジウマ氏が罷免された8月31日。ブラジルの歴史にとって忘れてならない日となる事は間違いない。(み)