8月31日のジウマ前大統領の罷免をめぐっての反応は対極に分かれている。米国やアルゼンチンなどは、「審理の結果を尊重する」としたのに対し、キューバ、ベネズエラ、エクアドル、ボリビアなどはジウマ氏が唱え続けている「ゴウピ」という言葉に追随し、「大使館を引き払うのも辞さない」などのコメントを出している国もある。見事なまでに、右か左かのイデオロギーに左右された見解だが、いずれにせよ、ブラジル政界で起きたスキャンダルなどに基づき、冷静に判断していただきたい。ベネズエラでは1日、マドゥーロ政権に抗議するデモで、首都カラカスの大通りが埋め尽くされていた。
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ジウマ氏の罷免も束の間、テメル大統領は4日、5日に行われるG20の会議のために中国に渡った。その間、ブラジル内で大統領が不在ということになるが、現在の政権には副大統領という役職を置かない形になっているので、この間、国内で大統領の代わりとなるのは、7月下旬に下院議長に就任したばかりのロドリゴ・マイア氏(民主党・DEM)になる。ということは、もし仮に辞職に追い込まれてなければ前任のクーニャ氏だったわけで、そうなれば大問題になっていたか。
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そのクーニャ氏だが、今回、ジウマ氏の政治生命が絶たれなかったことで、クーニャ氏も下議罷免を免れる可能性が大きくなったのではないか、との見方も出てきている。実際、マイア議長が12日に希望しているクーニャ氏の罷免投票を、先延ばししたがっている勢力は存在する。罷免を逃すとテメル政権には響きそうだが。