ブラジル沖縄県人会(島袋栄喜会長)は、前身である球陽協会創立から90年の節目を迎え、ジアデマ市沖縄文化センターに500人余りが集まり、記念祝典を盛大に行なった。母県からは県庁県議会及び各市町村からの慶祝団55人ほか、亜国やボリビアの沖縄県人会からも県系人が駆けつけ、世界のウチナーンチュ(沖縄人)が一堂に会した。脈々と受継がれてきた伝統芸能を、次世代を担う若者が力強く披露し、日系人口の約1割を占める「マンモス県人」の力を内外に示した。
式典で挨拶に立った島袋会長は、「創設から戦後の沖縄戦災救援運動など、『ゆいまーる(助け合い)』と『いちゃりばちょーでー(出会ったら皆兄弟)』の精神を発揮し、今日の県人会の基礎を築いてくれた」と先駆者を顕彰した。さらに「後継者育成、ウチナーンチュ世界ネット・ワークの構築、ブラジル社会への普及と統合に全力を尽くしたい」と未来への意気込みを表明した。
沖縄県庁の照喜名一統括監は、「第5回世界のウチナーンチュ大会で1200人のブラジル日系人が参加し、国際通りをパレードしたのを今でも忘れられない」と振り返り、翁長知事の祝辞を代読した。新里米吉議長は、「ブラジルでは五輪開催など著しい発展を見せるなか、各界で沖縄県系人が活躍され、誠に心強く大きな誇りでもある」と賞賛し、今年10月に開催されるウチナーンチュ大会への参加を呼びかけ、更なる友好関係の発展を期待した。
城間幹子那覇市長、城間俊安沖縄県町村会副会長、中前隆博在聖総領事、山田康雄県連会長、呉屋春美文協会長、西原篤一沖縄ブラジル協会会長、大田慶子下議から祝辞が相次いだ。県知事から功労者や高齢者に対して、また県人会から歴代会長や役員ら功労者へ表彰式を行ない、積年の労苦を労った。
式典後の昼食会では今後の発展を願い鏡開き。シーサーが描かれた豪勢なケーキに入刀されると会場は「パラベンス・パラ・ボセ」の大合唱で大盛り上がりとなった。琉球王朝時代から宴の際に披露されてきた「かぎやで風節」で芸能が始まり、優美な音色が響き渡るなか、来場者は同郷者との出会いにすぐに打ち解けていた。
若者による力強い太鼓や、ブラジル人グループのサンバで慶祝団を大歓迎。サンバのリズムに酔いしれ会場が一つの輪になった。最後はカチャシーの音楽に合わせてサンバ打楽器が叩かれ、踊り子も入り乱れた「サンバ太鼓カチャシー」となり、お祝いムード一色に。
式典を終え、高齢者表彰を受けた知念敏剛さん(79)は「母県の同胞と話ができてよかった。大変感激した」と興奮冷めやらぬ様子で節目を喜んだ。