【既報関連】ミシェル・テメル大統領(民主運動党・PMDB)の新政権が打ち出す財政政策の内、最も論争を巻き起こすことが予想される年金改革案の議会での審議が全国市長選後に先延ばしされそうな雲行きだが、これを早く決めたい民主社会党(PSDB)が、最悪、連立離脱も辞さない構えでいると、6日付エスタード紙が報じている。
テメル政権が準備している年金改革案は、早くから「労働者の権利を奪うもの」として注目を集めている。
その変化は次のようになる。現行法では、年金の受給開始は、男性が積立金の支払い年数が35年以上、女性なら30年以上で、かつ、男性なら支払い年数と受給対象者の年齢を足した数字が95以上、女性なら85以上ということになっている。つまり、20歳から積立をはじめたら、男性は60歳、女性は55歳から満額の年金がもらえる仕組みになっている。
そこを、テメル政権では、男女問わず、年金受給開始を65歳に変更しようとしている。改正案の対象となる労働者は、男性は50歳以下、女性と教員は45歳以下で、それ以上の年齢の労働者は、現行法に従うことになる。
この改正案は、噂が浮上した時点から労働者を中心に強い反対が起こっており、議会でも論争となることが必至と見られていた。
だが、現在のところ、議会でこの件について審議することはなく、少なくとも10月2日に行われる全国市長選のあとになる可能性が強い。それは、選挙の行われる年は議員たちが候補者の応援などで議会を空けることが多いために人が集まらず、投票などを行うのが困難となるために、重要な審議を行わないのが慣例となっているためだ。
また、労働者の権利が損なわれかねない政策が選挙前に提示されれば、選挙が不利になるとの判断もある。
過去に下院議長も経験してきたテメル大統領はこうした事情を理解しており、あえて急いでこの件を9月に審議しようとはしていない。
だが、テメル氏のこの姿勢に満足していないのがPSDB党首のアエシオ・ネーヴェス上議だ。アエシオ氏は「大事な問題だからこそ、早く審議して、明確にすべきだ」と主張している。
アエシオ氏はこの件について、ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事(PSDB)ともサンパウロ州庁で会談した。アウキミン知事も「仮に審議が選挙後になるなら、年金改革に関する議会での投票は来年に持ち越される危険性がある」と警鐘をならしている。
もうひとりのPSDBの大物で、上院政府リーダーでもあるサンパウロ州選出上議のアロイージオ・ヌーネス氏も同じ見解を示している。
PSDBは5月12日にテメル暫定政権が誕生した際も、条件をつけて慎重に連立入りしており、問題がこじれると連立離脱の危険性もある。
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