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クーニャ=12日に罷免投票実施へ=ジウマ温情判決で危惧生じるも=市長選直前の議員多忙期に=既に賛成は過半数近く

7月、下院憲政委員会から罷免支持の判断を出された際のクーニャ氏(Lula Marques/AGPT)

7月、下院憲政委員会から罷免支持の判断を出された際のクーニャ氏(Lula Marques/AGPT)

 エドゥアルド・クーニャ前下院議長(民主運動党・PMDB)の罷免投票が12日に行われる見込みだ。この件に関しては、ジウマ前大統領の罷免の際に政治生命の維持が認められたことや、クーニャ派の投票延期工作などが懸念されたが、現状では罷免は避けられない状況だと、7、8日付伯字紙が報じている。

 8月31日のジウマ前大統領の弾劾裁判では、「大統領を罷免する」と「今後8年間は、公職についたり選挙に出馬したりできない」の2度に分けて投票が行われた。後者の投票では、コーロル元大統領が弾劾されたときは同時に適用された「公職から除外する」という懲罰が例外的に適用されず、有罪判決後も政治生命が維持されたことは物議を醸した。
 この結果が出た直後、クーニャ氏の派閥の議員の中からは「ならばクーニャ氏も罷免はなしで」と拡大適用を求める声があがった。折りしも、同じPMDBのミシェル・テメル氏が「ジウマ氏を裏切って大統領に就任した」との声が上がり、テメル氏に反対するデモも連日起こっていた状況から、「PMDB政権がクーニャ氏を救う策略なのでは」と唱える声まで聞かれた。
 ただ、ジウマ氏の政治生命を救うために水面下で動いたレナン・カリェイロス上院議長(PMDB)は、「あくまでも、ジウマ氏が政治生命を絶たれる次元の問題ではないと判断したのみ」とし、ラヴァ・ジャット作戦での収賄疑惑、秘密口座所持疑惑などを問われているクーニャ氏にまで及ぶものではないとの見解を示していた。
 また、投票日に予定されていた9月12日が、全国市長選の3週間前という日程も懸念材料だった。通常、選挙前は連邦議員も出払っており、会議を開こうとしても議員が集まらない時期として知られるためで、「議員が集まらず、投票が成立しないのでは」という声もあった。
 だが、8日付フォーリャ紙によると、既に労働者党(PT)や民主社会党(PSDB)、ロドリゴ・マイア現下院議長が所属する民主党(DEM)など10党が、党全体でクーニャ氏の罷免賛成に投票する意向を明らかにしている。この数を合計すると238人に及び、罷免成立のために必要な過半数の257人が目前に迫っている。
 クーニャ氏の罷免阻止に動くと考えられるのは、同氏が下院内で築いた会派「セントロン」の所属者が多い進歩党(PP)、共和党(PR)、社会民主党(PSD)、ブラジル共和党(PRB)、ブラジル労働党(PTB)などだが、セントロンの団結心も強くはない。PRBは既に罷免賛成に票を投じる意向を表明している。
 PSDもクーニャ氏の罷免を問う政治倫理委員会で党代表の委員が罷免に賛成しており、PRも7月の下院議長選の決選投票で、反クーニャ派のマイア氏に票を投じた経緯もある。