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無職男性70匹の猫を飼う=飼育に必要な場所もなく

 サンパウロ州サンタクルス・ダス・パウメイラス市に住むフランシスコ・デ・アシス・ペレイラ・シウヴァ氏(56)が、家賃滞納で賃貸住宅からの立ち退きを命じられ、同居する猫70匹を飼育するための援助を求めている。
 同市内にあるサンフランシスコ・デ・アシス動物保護協会は犬の保育所が一つあるだけで、猫を保護する場所はない。また、犬の保育所も既に130匹の犬がおり、満杯だ。
 同協会につれてこられた猫は会長のイヴァニア・クリスチーナ・ルチェッタ氏が自宅に引き取って育てているが、彼女の家には既に38匹の猫がおり、「さらに70匹引き取るだけのスペースはない」という。
 同市市役所も、猫を保護する場所はなく、保護申請の登録システムもないと述べている。
 フランシスコ氏は何年も前から拾った猫を飼育している。2013年にアララクアラ市に住んでいた時、ペトロブラス社の仕事を頼まれ、50匹の猫とともにマカエ市に引っ越した。
 猫の数は一時期、120匹まで増えたが、死んだり人に譲ったりしたため、2015年に現在の住居に引っ越してきた時は86匹に減っていた。
 フランシスコ氏はペトロブラス社を巡る汚職事件のせいで15年9月に解雇された際、11年連れ添った妻が家族が恋しいと言い出したために、サンパウロ州の田舎に帰ることを決意した。
 フランシスコ氏によると、状況が悪化したのは失業保険の最後の支払い後だ。妻が家を出、猫と自分だけが取り残されたのだ。同市から35キロ離れたポルト・フェレイラ市で仕事を見つけたものの、そこまで引越す事も、猫を捨てる事も出来なかった。
 その後は、市内でアルバイトを見つけたが、2カ月しか続かなかった。市内よりも雇用先が多いと考え、現在はサンカルロス市のように、もっと大きな町に引越しする事を望んでいる。
 フランシスコ氏は市内中央区にある家の離れで4部屋ある家に住んでいる。家賃は月400レアルだが、支払いは既に3カ月遅れ、立ち退き命令を受け取った。家族や親戚はセアラー州フォルタレーザに住んでいるが、フランシスコ氏を援助できる人は誰もいない。
 生活費や猫の餌、健康を維持するための金は友人からの援助が頼みだ。「こんな状況に陥ったことは一度もない。眠れない夜もあり、ひたすら神に祈っている」という。
 サンフランシスコ・デ・アシス動物保護協会のイヴァニア会長は、フランシスコ氏の猫を保護する場所はないから、広い農園に引っ越すよう勧めた。「フランシスコ氏の友人とも話したが、彼は猫を愛しすぎて手放せないでいる。猫はきれいで、良く面倒も見ているが、街中であれだけの数の猫を育てられる場所を見つけるのは不可能だ」と語った。
 イヴァニア氏は「フランシスコ氏には猫を飼育するのに充分な広さのある環境が必要だ。彼は猫と暮らすために戦っているが、立ち退きの際は猫を誰かに譲る必要がある事を理解しなければならない。彼にとってそれはとても難しい事だろうけどね」と語った。(9日付G1サイトより)