リオデジャネイロで開催中のパラリンピックでは、過去の大会で活躍した選手達のレガードともいえる選手達が大活躍している。
五輪やパラリンピックといった国際的なイベントが残す文化遺産は、建物や彫像だけではない。
その端的な例は、8日に水泳の200メートル自由形で金メダルを獲ったダニエル・ジアスや、11日に陸上の100メートルで優勝したペトルシオ・フェレイラ・ドス・サントスだ。
ダニエル・ジアスが水泳選手となったきっかけは、2004年のアテネ大会で金メダル6個を獲得し、ツバロン(サメ)の異名を得たクロドアウド・シウヴァだ。
アテネ大会での活躍が様々な障害を持つ若者達に大きな影響を与えた事は、クロドアウド自身もよく知っている。
4回目となるパラリンピックでは開会式で聖火台に聖火を点すという大役も果たした彼が、それ以上に喜んでいるのは、自分の後を追って水泳選手となったダニエル・ジアスらの若手が活躍している事だ。
クロドアウド自身は当初、自分が他の人達を奮い立たせる側に立つ事になるなどとは想像だにしていなかった。だが、自分がメダルを獲得して表彰される姿がテレビなどで報じられた事で、若者達が「自分達もやれる」「俺もやってみよう」と思い始めたと知って本当に喜び、「プールの中であっても外であっても、常に良い成績を残し、後輩達の模範となるよう心がけた」という。
ロンドン大会で引退する事も考えていたクロドアウドは、自国開催の今大会でもダニエル・ジアスらと共に200メートル自由形リレーに参加して銀メダルを獲得。その他の種目も含め、まだやれるとの実感を掴んでいる大御所は、今大会限りで引退との計画をもう一度考え直し始めている。
一方、陸上のペトルシオに火をつけたのは、11日に彼と共に表彰台にたったヨハンソン・ナシメントだ。北京大会では400メートルリレーで銀、200メートルで銅、ロンドン大会では200メートルで金、400メートルで銀を獲ったヨハンソンは、ブラジリアで行われた聖火の点火式で、テメル大統領の手から聖火を受け取る大役も果たした。
今大会では11日、100メートルで新記録を更新したペトルシオと共に3位に入賞し、二人で表彰台に立った上、13日の400メートルリレーでも、ペトルシオやレナト・ヌネス、アラン・フォンテレスと組んで銀メダルを獲得した。
リオデジャネイロで開催されている事もあり、五輪、パラリンピックには共に、公立校の生徒らも招かれ、選手達の活躍を間近に見聞きしている。
自分達も五輪やパラリンピックに出たいとの思いを胸に抱いた青少年達が今後の大会で活躍する姿を見て涙するのは、今大会で勇姿を見せている選手達かも知れない。
なお、パラリンピックに出場しているブラジル人選手の49%は交通事故などで不自由になってからスポーツを始めた人で、障害を持つ前は別の種目をやっていたという人は38%、同じ種目をやっていた人は11%いた。(7日付リオ2016公式サイトなどより)