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腰痛改善コラム=サムライの姿勢=メディカルトレーナー 伊藤和磨=(10)=腰痛にならないお尻の使い方(1)

お尻をギュッとしめているイメージ図

お尻をギュッとしめているイメージ図

 サッカーブラジル代表の金メダル獲得、おめでとうございます!!
 これ以上ないかたちでドイツにリベンジしてくれたお陰で、ブラジルW杯の大敗から続いていた心のモヤモヤが晴れました。 
 私が腰痛のケア(治療)をしていた男子400メートルリレーの山縣亮太選手が、銀メダルを獲得したことも嬉しい出来事の一つです。
 日本人選手の活躍によって、4年後の東京オリンピックへの関心と期待が高まったように感じます。
 さて、今回から3話連続で「腰痛にならないお尻の使い方」をご紹介していきます。

「ブラジルのお尻」

 ブラジル人は、「世界一セクシーなお尻」をもつ国民だと思います。
 尻フェチの私には、天国のような場所でした。20歳のとき、リオで開催されたビーチサッカー世界選手権に参戦したときのこと。コパカバーナ・ビーチで、それまで見たことのないブリッとしたお尻(ブンダ)を見て驚きました。
 日本人のように「四角い尻」ではなく、桃のように「丸いお尻」。 
 仲間の選手たちとビーチで遊んでいたら、「あなたたちは、何をやっている人の?」と女の子たちに質問され、サッカー選手だと答えると「だったら太ももを見せて」とリクエストとされました。
 海パンの裾をたくし上げて、太ももを見せると「ワォ! 本当にそうなんだ! かっこいい!」と、態度が一変して急に好意的になったのです。
 これは日本では考えられないことです。お尻や太ももが立派であっても、それがモテる要因にはならないからです。
 ラテン系の国々では、異性の体を見るときに、お尻に注目する人が多いいようですが、これは理に叶った見方だと思います。お尻は、推進力と跳躍力を生み出す「人体のエンジン」あり、肉体的な強さを表す重要なパーツだからです。

「衰えゆくお尻たち」

 以前、『男はお尻で選びなさい』というタイトルの本が流行りました。「他人の目につく上半身ばかり鍛える人は、見せかけの軽い男」。「鍛えても目立たないうえに、きつい下半身のトレーニングを黙々とやる男は、忍耐強くてタフだ」というのが、その筆者の意見でした。トレーナーとして、この意見には賛成です。
 近年では、重い物を持ち上げたり、しゃがんで作業したりするなど、お尻を使った肉体労働が激減したため、現代人の「尻力」は萎える一方です。
 お尻の力と機能が低下するということは、即ち、生物としての生命力が衰えていると言っても過言ではありません。腰痛を患う人が増え続けているのも、尻力の弱化と関係しているのです。

「知られざるお尻の威力」

 ゴリラのお尻よりも、3倍くらい大きい人間のお尻には、知られざる力が秘められています。その力を使わずにいるのは、実に勿体ないことです。
 あらゆるシーンで、「お尻=股関節」を上手に使いこなせたら、今よりもずっと楽に暮らせることでしょう。
 今回は、「立っているときのお尻の使い方」をマスターしましょう。
 人は老いると猫背になっていきますが、その原因は、お尻が弱るからです。立っているときに、お尻の割れ目を軽く締めるように意識して下さい。割れ目に紙を挟んで、抜けないようにする感じです。これだけで、骨盤の傾きがロック(固定)されて体が前のめりや、猫背になりません。
 その効果を体感するために、お尻の割れ目を締めたままお辞儀をしてみて下さい。すると、上体が前に倒れないことがわかるでしょう。お尻を締めずにお辞儀すると、どこまでも上体が前傾して背筋が丸まります。
 二足歩行を可能にしているのは、お尻の力なのです。
 生涯、凛とした姿勢を保つためには、筋トレよりもお尻を締めて立つ習慣を身につける方が、ずっと効果があります。継続していれば、何歳になってもプリッと上がったお尻をキープ(維持)できるでしょう。

【プロフィール】

プロフィール画像伊藤和磨(いとうかずま)1976年7月11日生まれ 東京都出身 

メ ディカルトレーナー。米国C.H.E.K institute 公認practitioner。2002年に「腰痛改善スタジオMaro’s」を開業。『腰痛はアタマで治す』(集英社)、『アゴを引けば体が変わる』 (光文社)など14冊を出版している。「生涯、腰痛にならない姿勢と体の使い方」を企業や学校などで講演している。