ルーラ元大統領(労働者党・PT)は15日、前日に連邦検察庁から受けた告発への返答とも言える公開演説を行い、涙ながらに潔白を主張すると共に、「証拠を見せろ」と言ってラヴァ・ジャット作戦(LJ)の捜査を批判した。16日付伯字紙が報じている。
サンパウロ市セントロのホテルで開かれた党幹部会の中で行われた演説は1時間を超え、同氏を取り囲んだ中央労組(CUT)や土地なし労働者運動(MTST)代表、PT政権時代の閣僚、弁護士などの同氏支持者らが、折々に声援や拍手を贈った。
ルーラ氏は検察官からの告発を「連中は嘘で固めて、連続小説の筋書きを作っている。クーニャ氏(前下院議長)を罷免し、テメル氏をゴウピ(クーデター)で大統領に仕立て上げ、ジウマ(前大統領)も罷免した。今度は私の政治生命を奪おうとしている」と批難した。また、「家の中も洗いざらい調べられた。息子の家では玄関まで壊された」として3月に家宅捜査に入られて以来の家族の苦悩を語ると共に、「マリーザに敬意を払ってほしい」と涙ながらに訴え、共に告発された妻の潔白を強調した。
続けてルーラ氏は、「私が汚職に関わった証拠を見せろ。そうすれば自分の足で警察に出頭して刑務所に入る」と検察庁に挑む発言した。これは13日に、連邦検察官が「ルーラ氏がLJの仕掛け人」と断定する会見を行った際、「多くの証言から確証を得た」と語る一方、「(問題となっている三層住宅の)名義を第三者にしていることもあり、具体的な証拠を見つけにくい」と発言したのを受け、「証拠がなく、確証だけで動いている」とルーラ氏が解釈したためだ。
さらにルーラ氏は、「私はジェツリオ(ヴァルガス)氏のように頭を撃って自殺する気もないし、ジャンゴ(グラール)氏のように国外に逃げもしない。私を追いやりたければ、選挙で私を負かすべきだ」と、ブラジルの伝説の大統領の名を出して自身の現在の気持ちを表現。自分の公生涯は皆が知っており、やましいところはないと言う際には、「ブラジルで私に勝るほど潔白なのはイエス・キリストだけ」とし、独立運動の英雄「チラデンテスが断頭された後もその思想は残り、30年後にブラジルが独立した」ように、卑劣な手段で自分の政治生命を絶とうとしても無駄だと強調した。
この日のルーラ氏は、3月4日に連邦警察から事情聴取を受けた後の脅迫じみた演説とは違い、感情に訴えて周囲の同情を集めようとする口調が目立った。この変化の背景には、3月の世論調査で57%、7月も46%とかなり高い、自身への拒絶感を取り除きたい気持ちがあるとフォーリャ紙は分析している。
なお、ルーラ氏やその弁護士の「確たる証拠もないでっち上げ」との批判に対し、全国連邦検事協会は「LJ捜査班の確証は綿密な捜査で集めた証拠に基づくもの」と反論し、検察官たちを弁護した。
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