サンパウロ市中央部にある元映画館のシネ・マロッコスに住み着いた住民が、借家に移る金もなく、居残っていると16日付エスタード紙が報じた。
12階建ての建物はサンパウロ市の所有物だが、13年から不法侵入者が住み着いている。管理担当のサンパウロ市のホームレス運動(MSTS)関係者が8月に行われた麻薬取引摘発で逮捕されるまでは、約300家族が月200~400レの共営費を払って暮らしていた。
市役所は今年5月、教育局として使うため、建物の明け渡しを要請。社会保障を受けていない住民がおり、6月1日までの立退命令は8月に中止されたが、市の要請で出た17日が期限の新しい立退命令が出た。
15日現在、借家などに移る金もない70世帯が居残っている。70世帯中38世帯は市から400レの補助金を受けているが、この金額で借りられる場所は少なく、銀行ストで金の引き落としも出来ない。この建物に住む、25の国から来た移民や難民253人は、身分証明書がないため、補助金をもらえない。
軍警との衝突を避けるために立ち退いた住民達は、親戚の家や市役所提供の避難所、他の不法侵入ビルなどに移ったり、路上生活に戻ったりしているという。