ブラジルの外食チェーン「ボブズ」が20日、マクドナルドに対し、同社のチョコレート・ミルクシェイクこそが本物だとし、マクドナルドが同社の同商品を奪って真似したと批判し、「偽物を飲まずに本物を飲め」と呼びかけるキャンペーンを打ち出した。
発端は、マクドナルドが、スイスに本社を置く麦芽飲料メーカーWander AGから、同社の製造する粉末麦芽飲料「オボマルチン(Ovomaltine)」の商標とそれを使ったチョコレート・シェイクの独占使用許可を得て販売を開始したことにあった。
ミルクシェイクの中でも、とりわけチョコレート・シェイクは、ブラジル国内では非常に人気の高い商品だ。ブラジルの場合、同商品は、シェイクを注ぐ前にチョコレート・シロップを容器に塗り、さらに本物のチョコレートの断片を入れて食べる飲み方が伝統的で人気を博している。
そこに目を着けたマクドナルド・ブラジルは、キットカットや、ブラジルの高級チョコレート店のコペンハーゲンなどとのコラボレーションで独自のチョコレート・シェイクを開発していた。
一方、ブラジル・ローカルのハンバーガー・チェーン、ボブズは、これまで一般的に「小型のマクドナルド」的なイメージで見られていたチェーンだが、同社が作っていたオボマルチンを混ぜたチョコレート・シェイクは同社のヒット商品として人気が高く、「ハンバーガーは食べなくても、あのシェイクだけは飲む」というファンも少なくなかった。
だが、その市場にマクドナルドが踏み込んできたのだ。13日、マクドナルドは「Wander AGとチョコレート・ミルクシェイクの独占販売契約を結んだ」と発表し、売り出し始めた。そして、これは多くの利用客を驚かせた。
なぜなら、ボブズのオブモンチーニのシェイクは50年代から売られており、2005年からは独占契約も結んでいたためだ。この契約がどう解消されたのかは明らかにされていない。
マクドナルドの契約のため、ボブズはオボマルチンの利用で制約を受けることとなった。同社はこれまで同様、オボマルチンを使ったシェイク商品は売ることが出来るものの、「オボマルチン」の商標名が使えなくなった。そのため同社は「クロカンチ」なる商品名で販売を継続している。
これに業を煮やしたボブズは20日、マクドナルドのシェイクの形をシルエットにして「フェイク(偽物)」と皮肉った上、21日夜12時~22日夜9時59分限定で「私はミルクフェイクは飲まないと言ってミルクシェイクを手に入れよう」と称するキャンペーンを打ち出した。
21~22日のキャンペーンでは、ボブズのセットメニューを注文する際、店員に「ミルクフェイクは飲まない」と言えば、無料でチョコレート・シェイクがついてくる。
たかがチョコレート・シェイクと思うかもしれないが、長い伝統のある商品にまつわる遺恨があるだけに問題は長引きそうだ。(20日付ヴェージャ誌サイト、13日付G1サイトなどより)