サンパウロ市の交通機関公社、SPトランス社が20日に公表したデータによると、サンパウロ市市役所のバス会社に対する負債が4月以降、5倍以上に膨れ上がっていると20日付エスタード紙が報じている。
サンパウロ市がバス会社に対して抱えている負債は、4月の時点で3300万レアルだったが、9月には414%増となる1億6970万レアルに膨れ上がっている。
サンパウロ市のバス会社の組合(SPウルバヌス)によると、市からの最後の支払いは8月28日で、先週並びに19日に支払われる予定だった市からの助成金は、未だに払われていない。
サンパウロ市は今年、バス運営のための予算として、過去最大となる17億9400万レアルを確保していたが、年の終りまで残り4カ月の8月末現在、既に88%を使い切ってしまっているという。
サンパウロ市がバス会社に対して負債を抱える状況は過去にも起きているが、それらはいずれも短期的なものだった。だが、今回は4月以降、負債が解消されるどころか、さらに悪化し続けており、問題は深刻だ。
公共交通機関への支払いが増加する最大要因となっているのは、フェルナンド・ハダジ市長(労働者党・PT)が導入した無料サービス「パッセ・リーヴリ」だ。15年3月に始まった同サービスは、公立校生徒(1~9年生と高校生)と低所得者層の大学生や専門校生のバス代を無料にしているが、これにより、無料での公共交通機関利用は8月だけで3300回分に上った。昨年8月は190万回だった。
2016年7月のバス利用者数は、同月としては09年以来最低の2億3100万人だった。近年の経費削減策により、今年のバス運用本数はこの8年間で最低の1日1万4755本になっている。専門家は、全体の利用者数も減る中、運賃値上げを避ける政策も重なり、バス会社への支払いだけが膨れ上がっていく現状に懸念を隠せない。