サンパウロ市市長選の最有力候補、セウソ・ルッソマノ下議(ブラジル共和党・PRB)の選挙運動の統括責任者が、領収書偽造の疑いなどで連邦検察庁に告発されたと21日付ブラジル紙が報じている。
問題となっているのはサンパウロ州選出のマルセロ・スクアソニ連邦下議(PRB)だ。同氏が選挙地盤としているサンパウロ州グアルジャーにあるTESS社が9日、連邦検察庁に訴えを届け出た。
TESSの社長ジョゼ・エドゥアルド・ドス・サントス氏は、エスタード紙とCBNラジオ局の取材に答えて、実際には同社が何の仕事をしたわけでもないのに、スクアソニ下議から架空の領収書を出すように強要されたと証言した。同下議がもつ議員割り当て金を、正当に使ったかのように連邦議会に提出する架空の領収書だったようだ。
サントス氏によるとスクアソニ氏は昨年8月、「キャンペーンで使うかもしれない」と依頼してきたという。サントス氏は額面3500レアルの領収書を9枚作成したという。
9日に訴えを届けた後、「仲介者」を名乗る男性がサントス氏に近づき、「20万レアルまでなら賄賂を払える」「連邦政府の仕事をやる」ことなどを条件に、訴えを取り下げるよう求めた。サントス氏はこれを断り、さらにマスコミにこの件を伝えた。
すると2日後の11日、サントス氏の事務所に、バイクに乗った男性から銃弾2発を打ち込まれた。警察署で被害の調書を作成し、現在はサンパウロ市に身を隠している。
これに対し、ルッソマノ選挙関係者はコメントを避け、スクアソニ氏はエスタード紙の取材に対し、「私は政治の権謀術数の犠牲になっている」と疑惑を否定している。
ルッソマノ候補は現在、サンパウロ市市長選で支持率1位だが、ジョアン・ドリア氏(民主社会党・PSDB)とマルタ氏(民主運動党・PMDB)の猛追を受けている。ライバル候補から足をすくわれる疑惑は、極力避けたい局面にいる。