ベネズエラの全国選挙委員会(CNE)はニコラス・マドゥーロ大統領の罷免を問う国民投票に関して、「2016年までの実施は不可能」と発表した。23日付伯字紙が報じている。
CNEは22日未明、大統領罷免を問う国民投票に関し、「17年3月までは実施できない」との発表を行なった。その理由は、「投票の実施を求める国民からの署名の手続きに不備が多く見受けられるから」というもの。
10月26~28日までの3日間で、400万人分の署名が確認されれば、12月に国民投票の準備に入ることになっていた。署名がそれに満たなければ、少なくとも3カ月延期されることになっていた。
同日の昼、今度は与党・統一社会党(PSUV)のホルへ・ロドリゲス代表がCNEを帯同させた形で会見を行ない、「2017年中の罷免投票の実施はない」と発言した。ロドリゲス代表は「180万人の署名のうち、50万人に不正があるようでは、国民投票が出来なくても当然だ」と主張している。
ロドリゲス代表は「裁判所にもこの不正について判断を求めたい」とした。与党の息のかかった司法関係者が判事の任命をするため、政府に不利な判決はまず出ないといわれる。
野党・民主連合会議(MUD)は全国選挙委員会や与党の発言を受け、「ベネズエラの憲法を無視した行為だ。大統領を罷免する場合の国民投票実施は憲法に明記されているのに」と不満を表明した。
野党側は、生活必需品不足や年間720%にも及ぶハイパー・インフレといった混乱を解消するためには、マドゥーロ大統領の罷免以外に道はないと考えている。
この国民投票を呼びかける署名運動に関しては、署名をした公務員が解雇されたという報道もあり、緊迫している。
この報を聞いた、ブラジルのジョゼ・セーラ外相は「国民投票の先延ばしは国の危機をさらに悪化させる」と警鐘を鳴らした。