長野県松本市で2003年7月、貸金業の男性が殺害され現金が奪われた事件で、日本政府の代理処罰(国外犯処罰規定による訴追)要請を受け、当地で強盗殺人の罪で起訴された日系ブラジル人のジュリアーノ・エンリケ・ソノダ被告は昨年9月、禁固30年の一審判決を受け、控訴していた。しかしサンパウロ州高等裁判所は15日、この控訴を棄却した。
州高等裁の同日付の判決文によれば、被告は、被告側の証人尋問を裁判官が認めず、防御権が侵害されたとして判決の無効を求め、無罪を訴えていた。もともと、被告側の証人としてサンパウロ州フェルナンドーポリス、マット・グロッソ州アウタ・フロレスタ市に住む人が召喚されていた。
裁判官は、その時既に事件から7年が経過していたことから、全員の証人尋問を行う必要性があるかどうかについて被告側の意見表明を求め、被告の前歴に関する証言のみである場合は、その旨を書面で証明するよう通知していた。しかし、被告側からは何の意思表示もなかったという。
裁判官は被告側の控訴について、「被告側は、証人尋問の妥当性、証言で何を証明しようとしているのかを示すことなく、憲法が認める広範な防御権を主張するにとどまっている」として、控訴は根拠のないものと判断し、棄却した。
判決は未だ確定しておらず、今後被告がSTJ(連邦高等司法裁判所)、STF(連邦最高裁判所)に上訴する可能性もある。
現地メディアの報道によれば、被告は犯行後数ヶ月間日本に滞在した後にブラジルに帰国した。サンパウロ州フェルナンドーポリスに潜伏していたが、日本政府の代理処罰申請を受け、サンパウロ州検察が08年1月末に起訴。同年2月に同地で逮捕され、裁判所は未決拘留を命じ、以降非公開で審理が進んでいた。
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