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パロッシ元財相逮捕=賄賂総額は1億2800万ドルか=LJ作戦で過去最大規模=受領証拠と隠し口座が焦点に

官房長官時代のパロッシ容疑者(Agencia Brasil)

官房長官時代のパロッシ容疑者(Agencia Brasil)

 【既報関連】第35次ラヴァ・ジャット作戦により、オデブレヒト社とのあいだの贈収賄や資金洗浄の容疑で26日に逮捕された、労働者党(PT)政権で財相、官房長官を務めたアントニオ・パロッシ容疑者に関し、1億2800万ドル(約40億円)におよぶ巨額賄賂の容疑内容が27日付ブラジル紙で、より具体的に報道されている。

 26日、LJを管轄するパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は、パロッシ氏や、同じく逮捕された部下のブラニスラフ・コンチッチ容疑者やジュセリーノ・ドウラード容疑者が収賄したと見られる1億2800万ドルの差し抑え命令を下した。これはLJの差押金額としては過去最大。
 連邦警察のフィリペ・パッセ捜査官によると、パロッシ容疑者らのこの収賄に関しては、オデブレヒトで賄賂の分配に携わっていた同社会計のマリア・ルシア・タヴァレス被告が応じたデラソン(報奨付証言)を根拠にしたものだという。
 賄賂の主な目的と疑われているのは次の4件。一つ目は、ペトロブラスの岩塩下層油田用掘削船建造で、27日付エスタード紙は「28機」(オ・グローボ電子版26日付けでは「21機」)の入札に関してオデブレヒトに口利きし、その見返りに収賄したという容疑。
 二つ目は2009年発行の「暫定令(MP)460の」。このMPで同社の会計問題の一部が解消された。社長(当時)のマルセロ・オデブレヒト被告のメールと携帯電話の記録から、09年当時は役職になかったパロッシ氏が同MPのロビー活動を行なっていたことが明らかになった。
 マルセロ氏はパロッシ氏を、同社の賄賂分配表に名付けたとおり「イタリアーノ」と呼び、あるメールでは「イタリアーノがMP460を通過させるのに苦しんでいる。その代案と埋め合わせの報酬が欲しいと言ってきている」とのやりとりも見つかっている。
 三つ目は原子力潜水艦実験プログラム(Prosub)での優遇。四つ目はアフリカのアンゴラでの事業に伴う社会経済開発銀行(BNDES)からの巨額融資案件。いずれもマルセロ被告の携帯やメールで「イタリアーノ」の名前が絡んで浮上した。
 パロッシ氏が11年7月に官房長官を辞任した後も、マルセロ被告は連絡を取り合った痕跡があり、パロッシ氏の口座に巨額の振り込みも続いていると見られており、「ペトロトンに関してパロッシ氏は、(メンサロンとLJ被告の元官房長官の)ジョゼ・ジルセウ氏以上の影響力を保持し続けていた」と連警は推測している。
 ただし、司法専門サイト「コンスルトル・ジュリジコ」27日付電子版によれば、この1億2800万ドルは「様々な証言から建設会社の便宜を図って収賄したと推測される総額。まだ受領した証明や、どこに、いくらあるかなどの証拠がでていない」というもの。連邦警察では、未判明の国外秘密口座に隠されていると見ている。しかし、見つからない場合には元大臣を証拠もなしに逮捕したとの批判が強まり、今後の捜査に支障を生じる危険性もあるという。